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38歳の東口順昭が10代のチームメイトに熱視線「彼らのプレーを盗むことで、まだまだ成長できる」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 いや......自分にできひんことをやろうとするのって、根気もいるし、正直、めっちゃ嫌なんですよ(笑)。『うわぁ〜できひんー』ってことに向き合うのもしんどい。でも、そこにちゃんと向き合って、ひとつずつ積み上げていけば、いつかは自分のものになるとわかってるので。そのプロセスを楽しいと思えているうちは、現役でいるんでしょうね」

 もっとも、先に名前の挙がった張や荒木のように、次から次へと若い選手が台頭してくるこの世界だ。40歳に近い選手がピッチに立ち続ける難しさは百も承知でいる。でも、だからチャレンジのしがいもある。

「一昨年に396試合まで(出場試合を)重ねた時は、400試合を意識したし、30代後半に差しかかかってからは『40歳まで』みたいなことも考えていたけど、気がついたらあっという間に30代最後の年やから。遠くに思えていた数字が目前に迫って、逆にそこは気にしなくなった。

 それよりも今は、できるだけ長くプレーできるように、というのが一番。同世代の周ちゃん(西川/浦和レッズ)や大樹(飯倉/横浜F・マリノス)らも頑張っていますしね。一時期、控えに回りながらもまたポジションを奪い返してJ1のピッチに立ち続けている彼らの姿はマジで刺激にも、励みにもなる。だから、心から頑張れって応援しています。もちろん、自分のことも(笑)」

 ガンバで積み上げた11年ものキャリアで、数々の"タイトル"を含め、酸いも甘いも経験してきた東口だからこそ、簡単にポジションを明け渡してたまるか、というプライドもその胸に携えて。

「ガンバの先発というポジションはそんな簡単につかめるポジションじゃない、ということを僕自身もいろんな選手の姿から学んできたように、僕もその姿を示し続けたい。それが、ガンバがこの先"タイトル"という歴史を取り戻すために絶対に残していかなアカンDNAやと思っていますしね。僕が言わずともみんなわかっているとは思うけど、そういった本物の競争をこのチームに植えつけるためにも、まずは最年長の自分が、しっかりギラギラしておこうと思っています」

 その考えは昨年、自身のキャリアで初めてに近いほど、試合に出場しないシーズンを経験して、あらためて自分にリマインドしたことでもあるという。

「コンスタントに試合に出場している時なら、目の前の試合に向けて準備をし、試合を戦い、体を回復させて、また次の試合に向かうというリズムを自身に見出せていたけど、去年はそうじゃなかったから。自分ではいい準備ができたと思っても、試合に出られるかどうかはわからないというなかで、それでも、チャンスが来た時に自分のすべてを出しきるために、ということを意識し続けて、その時を待たなければいけなかった。

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