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38歳の東口順昭が10代のチームメイトに熱視線「彼らのプレーを盗むことで、まだまだ成長できる」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 前編の冒頭でも記したとおり、東口は今年でプロ17年目を迎えた百戦錬磨のGKだ。GKのJ1リーグ通算出場試合数は、楢崎正剛、西川周作(浦和レッズ)、曽ヶ端隼、川口能活、キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)次ぐ歴代6位の出場数(396試合)を数える。しかも、一昨年までは残留争いに巻き込まれるシーズンが続いていたなかで、記憶に残る「チームを救うセービング」も数知れず、それがガンバ大阪の"守護神"としての存在感をより際立たせてきたといっていい。

 その彼が、まだプロデビューすら果たしていない10代のチームメイトのプレーを見て、多くのものを盗みたいと目を輝かせる。そこに、彼のプロサッカー選手としての矜持を見る。

「単に、僕は人のプレーを盗むのが好きなんやと思います。実際、10代のふたりは190cm超えの恵まれた体と能力を備えていることからも、この先、次世代のGKとして間違いなく注目を集めるはず。特に、今年入ってきたU-20日本代表にも名を連ねる琉偉はまだ高校生ですけど、なんかもう、説明できひんポテンシャルを備えてますから(笑)。

 たとえば、GKって構え方ひとつとっても、高く構えたり、低く構えたり、前のめりやったり、後ろ重心やったり、いろんなタイプがいるんですけど、琉偉はどちらかというと立っている感じで構えるんです。でも194㎝も身長があるので、それだと下のボールへの反応が遅くなると思うじゃないですか? でも、琉偉はその構えから下のボールへの反応もめちゃめちゃ速い。それは、なぜなんや? と。しかも、その時々にとるべきプレーの選択を間違わないのもすごいなって思います。

 そういう選択ができるようになるのって20代後半くらいな気がしていたけど......マジで末恐ろしい。その理由を探るためにも観察して、研究してます。それが、めっちゃ面白い」

 年齢、キャリアに関係なく、いいと思うプレーは素直に受け入れ、自分に還元することを考える。そういえば、昨年、右膝のケガから復帰した際は、彼が尊敬してやまない憧れのGK、リバプールのアリソン・ラムセス・ベッカーのプレー映像やフットサルのGKを参考に「シューターとの距離間」の詰め方を学んでいると話していたことも。その途絶えることのない、プレーへの探究心、うまくなりたいという向上心が今も、彼をピッチに立たせ続けている。

「キャリアを重ねるなかで積み上げられてきたことも絶対にあって、若い頃より見えること、できることが増えているのは間違いないと思います。でも、この先どれだけやっても、『もっともっと』と思うやろうし、完璧だと思える日は、一生来ない。それをわかっていながらも、僕は自分にできないことができるようになっていく過程がやっぱり楽しい。

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