FC町田ゼルビアのシーズン後半の失速はなぜ起こったのか? J1初挑戦で味わった3つの要因 (2ページ目)
【自分たちのよさを見失った】
特に第31節北海道コンサドーレ札幌戦以降、5試合で2分3敗と勝てない状況が続き、町田らしい積極性がなりを潜めていた。当時の状況をキャプテンのDF昌子源はこう振り返る。
「優勝争いが佳境に入ってきて、すごく難しいシビアな時期だったと思います。例えばひとつ負けると順位がいくつも下がるとか。あの頃は特に点が取れていなかったので、前の選手はボールを大事にしすぎて迫力がなかったですよね」
そんな時、昨季から在籍するDF鈴木準弥が選手ミーティングで訴えかけたという。
「このチームのよさは、そもそもうまい選手が揃っているわけじゃないから、ミスして当たり前。ミスしてもみんなで取り返して、またミスしても取り返す。何度でも取り返す。誰かがミスしても『ミスすんなよ!』とかなかった。それが俺らのよさじゃなかったの?」
昌子はそれを聞いて「まさにそうやな」と目が覚める思いだったという。
「あの頃は自分のミスでチームの順位を下げてしまうんじゃないかとみんなが縮こまっていましたよね」
勝っていた頃の町田は、たとえ守備がうまくハマらなかったり、誰かがミスをしても、チームの雰囲気が苛立ちや不安、焦りなど、ネガティブな方向へ振れることがなかった。どんな状況でもチーム全体で同じ方向を向いて、やるべきことを徹底し、愚直にやり続け、それが大きなうねりとなって相手へ襲いかかる。それが町田の強さの源泉だった。
それを見失っていたことは、失速のもうひとつの要因として挙げられるだろう。
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