FC町田ゼルビアのシーズン後半の失速はなぜ起こったのか? J1初挑戦で味わった3つの要因 (4ページ目)
【最後に取り戻した本来の姿】
第36節FC東京戦、これに敗れれば優勝の可能性が消滅するというまさに瀬戸際だった。そんな試合で黒田監督は勝負に出る。システムを4-4-2から3-1-4-2の3バックに変更。マンツーマンで前からハメにいく戦術に舵を切る。
マークにつく人を決めたことで、町田対策で泣きどころとなった中盤のスペースを気にする必要がなくなり、選手たちは後ろ髪引かれることなく、強気に前へ出ることができた。それによって本来の攻守にアグレッシブな姿勢、インテンシティを取り戻した。
ボランチの白崎凌兵は守備のタスク過多から解放され、相馬はキレが戻って攻撃を活性化、チャン・ミンギュが復帰したことで3バックに舵を切ることができた。抱えていた課題が一気に解決されたような会心の試合だった。
試合後の会見で黒田監督は少し涙ぐみながらこう語った。
「ゲームを通じて本当に果敢にプレーしてくれる選手たちの姿が目に焼きついている。『これぞ、町田の魂なんだ』というものを彼らが身をもって表現してくれた」
勝負師・黒田監督の一手が、町田を本来の姿に蘇らせた。
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