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FC町田ゼルビアのシーズン後半の失速はなぜ起こったのか? J1初挑戦で味わった3つの要因 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【3位は讃えられるべき結果】

 町田らしさを見失うチームに黒田監督は苦悩する一方で、ブレることを嫌い、ここまでやってきたやり方を変えることを嫌った。しかし、チームが不調に陥り、その間に多くの勝ち点を取りこぼし、積み上げてきた自信や町田のサッカーまでも失いそうになった。

 黒田監督が3バックへの変更を決断したのは、第35節サガン鳥栖戦で敗れた帰りの移動中だったという。ひとりで決めたというその決断にチームは応え、躍動。FC東京戦から2連勝した町田は、優勝の可能性を残して最終節の鹿島アントラーズ戦を迎えることができた。

 結果的に町田は鹿島に敗れ、シーズンを3位で終える。優勝が手の届くところにありそうで、そんな甘いものではないと、歴代最多優勝を誇る名門に教えられたような最終節だった。

 それでもJ1初昇格で歴代最高位の3位、リーグ最少失点、ACL出場権の獲得(ACLエリートは横浜F・マリノスと川崎フロンターレの結果次第。ACL2は確実)は、できすぎと言えるくらい誇るべき結果、偉業であり、大いに讃えられるべきである。

 そしてもうひとつ、チームが失速した時期、町田のサポーターは決してブーイングをせず、選手の背中を押し続けた。それもまた、誇るべき姿である。

 快進撃に始まり、炎上や誹謗中傷に晒され、不調に陥った長く暗いトンネル。あまりに濃かった今シーズンを糧に、来シーズン、ひとまわり大きく成長した町田が再び旋風を巻き起こすかもしれない。

著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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