J1鹿島・知念慶がボランチで才能開花! FWからの「ガチのコンバート」でデュエル王を独走中 (5ページ目)
【佐野海舟との間に約束事はなかった】
── シーズン前半戦でコンビを組んでいた佐野選手とは、どういった関係性を築いていたのでしょうか?
「海舟とはお互いを補って助け合うというよりも、お互いにボールを奪うのが得意だったので、ふたりとも積極的にアタックしていました。それでボールを奪いきれなかった時には、もう一方がフォローする。
お互いにプレーエリアが広かったので、前に出ていける範囲も、カバーできる範囲も広かったんですよね。それこそ、ふたりとも前に出ていった先でボールを奪いきれる場面も多かったですから」
── それこそインターセプト総数でも、ふたりは上位にランクインしていました。
「あいつもいっちゃうし、自分もいっちゃうみたいな(笑)。お互いにあまり相手のことを気にしていなかったかもしれません。だから、『ボランチふたりの関係性や約束事は?』と聞かれても、これといった決まりはなかったというか。
お互いに好きなようにプレーしていたら、ボールを奪えるので、自分がいけるタイミングで出ていこうと思っていました。仮にカウンターを仕掛けられても、スペースを埋めるのではなく、それでも取りにいく。自分が奪いきれなかったとしても、『海舟がいるしな』って思っていました」
── それを信頼関係と言うのかもしれないですね。
「ただただ、監督が求めていることを忠実に体現しようと取り組んでききたら、どんどん、できることや強みが増えていったように思います」
(後編につづく)
◆知念慶・後編>>中村憲剛や柴崎岳の「空間を使ったパス」は出せない
【profile】
知念慶(ちねん・けい)
1995年3月17日生まれ、沖縄県島尻郡出身。兄の影響で小学1年生からサッカーを始める。地元の知念高校を卒業後、沖縄を離れて愛知学院大学に進学。東海学生リーグで得点王になる活躍もあり、2017年に川崎フロンターレに加入する。川崎在籍5シーズンで(2020年は大分トリニータに期限付き移籍)3度のJ1優勝に貢献。2023年、鹿島アントラーズに完全移籍。ポジション=FW。身長177cm、体重73kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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