柏木陽介が「敵わない」と脱帽したMFベスト5「この5人で中盤を組んだら、僕が興奮する(笑)」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【流れが悪い時、絶対に何かを起こしてくる人】

── 柏木さんと同じく昨シーズンかぎりで現役を退いた遠藤保仁さんに関しては、いかがですか?

「僕が何かを言うまでもなく、すごい人ですよ。レジェンドです。ヤットさんは、憲剛さんと一緒で賢すぎる。このふたりはチームを扱えるというか、その人のチームになっちゃうんですよ。『もう、監督いらないよね』って言うレベルで」

── 具体的にどのあたりにすごみを感じますか?

「いろいろあるんですけど、一番はポジショニングじゃないですか。ほとんどスプリントはしないのに、走行距離は(1試合で)12キロくらいある。それくらい、常に動いているんですよね。常に周りを見ながら、自分がどこに立てばいいのかっていうのが、頭の中にあるんだろうなと思います」

── ポジショニングひとつで、流れを変えてしまうような感じですか。

「そうです。自分たちの流れが悪い時に、絶対に何かを起こしてくる人なんですよ。たとえば何気なく引いてきても、絶対に思惑があるんですよ。引いて食いつかせて、『はいはい、食いついてくれてありがとう』って思っているタイプですよ(笑)。

 本当にいやらしいし、そういうとこまでも全部考えていると思う。僕も考えながらやるタイプでしたけど、ヤットさんはその一手も、二手も先を考えていたと思います」

── まるで棋士のようですね。

「本当に将棋をしているんじゃないかっていうくらいのレベルで、サッカーをしてたんじゃないですかね。それにヤットさんは、キックもうまいし、トラップもうまいし、視野も広い。よく俯瞰(ふかん)でピッチが見えるって言うじゃないですか。僕もたまにそういう感覚はありましたけど、ヤットさんの場合は常にそう見えていたんじゃないですかね。もう、特殊能力ですよ」

── 続いて、香川真司選手について聞かせてください。柏木さんの同年代の選手なので、若い頃はライバル意識もあったんですか?

「いや、全然。真司がすごすぎて、そんな意識はまったくなかったです。最初に出てきた時は『なんだ、こいつは?』って思いましたから。U-20日本代表の時はあとからメンバーに入ってきましたけど、『なんでこいつがスタメンで出ないの?』って思っていましたよ」

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