浦和、横浜FM、川崎...つなぐサッカーは優勝できない? J1序盤戦は神戸、町田のボール非保持スタイルが優勢 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【浦和、横浜FMは新指揮官のもと苦戦を強いられた】

 昨季の横浜FMは2位とタイトル争いを演じたものの、ボール保持を主体とするクラブが数年前までの力を失っているのは事実だ。その横浜FMも今季は13位と出遅れている。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の影響で消化試合数が2つ少ないことや日程の厳しさもあり、順位が落ちているのは仕方がない面もあるが。

 ただ、それだけでなく、今季からハリー・キューウェル新指揮官を迎え、新しいやり方に不慣れな序盤に苦戦を強いられてもいた。ダブルボランチから1アンカーに変わり、SBの流動的な動きがやや制限されたことでビルドアップに苦しんだ。

 それでも試合を重ねるごとにSBのダイナミズムを取り戻し、インサイドハーフのバランスの取り方もスムーズになってきている。いまもっとも注力しているACL決勝を終えたら、浮上してくる可能性は十分にある。

 6位の浦和もペア・マティアス・ヘグモ新監督になって、タイトな守備がベースだった昨季からやり方が大きく変化し、ボール保持型のスタイルを模索している。

 新加入でアンカーを任される、MFサミュエル・グスタフソンの質は非常に高い。ただ、彼へのパスコースを消されると、インサイドハーフのサポートがややスムーズではないこともあってボールがうまく回らなくなり、サイドへ開いた両SBはプレスの餌食になる傾向にある。

 また、昨季の強みであった、守備のコンパクトさが失われているのも気になるところだ。アンカー脇のスペースを使われ、相手に簡単に前進を許すシーンが多くなっている。課題だった得点数は確かに増えているが、代わりに失点数も大幅に増加。昨季はわずか7敗だったが、今季すでに5敗を喫しているのは、守備の安定感を欠いていることが原因だろう。

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