浦和、横浜FM、川崎...つなぐサッカーは優勝できない? J1序盤戦は神戸、町田のボール非保持スタイルが優勢 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【神戸は昨季優勝メンバーに加え、選手層の厚みも見せる】

 今季の神戸は、昨季と同様に基本システムの4-3-3から、守備時にはインサイドハーフのひとりが一列上がって4-4-2に可変。2トップのプレッシングで相手のビルドアップに制限をかけて追い込み、前向きにボールを奪って素早いトランジションからカウンターを狙う。

 あるいはボール保持になれば、右サイドバック(SB)のDF酒井高徳が高い位置を取ってトップのFW大迫勇也も右サイドに寄り、右肩上がりに前線が近い距離を形成する。その前線右サイドへ後方からボールを送り込み、大迫や武藤嘉紀の個の能力を活かして起点を作りながら一気に相手陣内に攻め込んでいく。

 さらにセットプレーも武器とし、多くの得点パターンからここまでリーグ2位の23得点を記録。守備でもリーグ最少タイの10失点、5試合のクリーンシートはリーグ2位タイと、攻守に抜群の結果を残している。

 今オフにFW宮代大聖やMF井手口陽介、DF岩波拓也、DF広瀬陸斗ら即戦力級を補強し、さらに厚みを増した選手層も神戸の強みとなっている。

 大迫が不在となった第8節の町田戦ではFW佐々木大樹を代役に立てて競り勝ち、前節から中2日で迎えた第12節のアルビレックス新潟戦は、大幅にターンオーバーをしながら勝ちきった。

 そんななかでひと際インパクトを残すのが宮代で、6得点は大迫、武藤を抑えてチームのトップスコアラー。シュート総数、ゴール期待値(シュートチャンスが得点に結びつく確率)も大迫、武藤に次いでどちらもチーム3位の数字を残し、キャリアハイとなるシーズン8得点もまもなく更新する勢いだ。

 個のクオリティを前面に押し出す王者のサッカーのなかで、ヘディングやドリブル突破などさまざまな得点パターンからゴールを奪い、ブレイクを果たしている。ゴールセレブレーションの"領域展開"ポーズもお馴染みとなってきた。

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