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浦和、横浜FM、川崎...つなぐサッカーは優勝できない? J1序盤戦は神戸、町田のボール非保持スタイルが優勢 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【町田はシンプルなサッカーでプレーに淀みがない】

 町田は「失点をゼロで抑え、一本中一本をものにする」「相手が嫌がることを徹底する」といったコンセプトのなかで、チームとしてやること、優先順位が明確で、それを誰が出ても徹底できるのが強みであり、この順位にいる理由である。

 基本システムの4-4-2から2トップで相手のビルドアップを制限し、チーム全体でのハイプレスでボール奪取を狙う。ボールを奪えばオ・セフンや藤尾翔太、平河悠、藤本一輝ら前線のタレントを活かして、シンプルかつ素早く相手ゴールに襲いかかるサッカーは、よく訓練され淀みがない。

 ここまで10失点は神戸、ガンバ大阪と並んでリーグ最少タイ。6試合のクリーンシートはリーグ最多タイと強固な守備を築いている。

 また、明確なプレーモデルを実践できる戦力を的確に補強しているのも町田の強さを支えている要因で、その最たる例が"ウルトラセフン"こと、清水エスパルスから加入したオ・セフンだ。

 194cmという恵まれた体躯を活かし、空中戦勝利数は130を数える。次にその数が多いジュビロ磐田のFWマテウス・ペイショットが72、チームでの空中戦勝利数1位の神戸(町田は2位)で最多の大迫が58である。いかにオ・セフンの高さが圧倒的で、どれだけ活用しているかがよくわかるだろう。

 後方からのロングフィード、ゴールキック、ロングスロー、サイドからのクロス、あらゆるところからオ・セフンの頭を目がけてハイボールを送り、周りの味方はひたすらセカンドボールを狙い続ける。その圧力は相手にとってかなりの脅威だ。

 オ・セフンに限らず、町田のプレーモデルのなかで水を得た魚のように自身の強みを存分に発揮する選手たちは、ほかにも多くいる。

 その持てる能力、強みを適材適所で活かしきる指導力とマネジメントは、高校生の尖った個性をうまく活かしながらチーム作りを繰り返す高体連で、長年指導してきた黒田剛監督ならではと感じる部分だ。

 清水でくすぶっていた韓国人FWが、今季J1を席巻することを誰が想像できただろうか。

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