浦和、横浜FM、川崎...つなぐサッカーは優勝できない? J1序盤戦は神戸、町田のボール非保持スタイルが優勢 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【川崎は新しいサイクルの構築段階】

 もっとも過渡期にあるのが12位の川崎である。最後にリーグ優勝した2021年の主要メンバーもほとんどがチームを去り、新しいサイクルの構築段階だ。

 開幕戦こそ勝利したものの、寄せが甘く、スライドや戻りの遅い守備では失点が止まらず、第2節から3連敗を喫した。チャンスは作れていたものの、第6節から4試合連続で無得点とゴール欠乏症にも陥った。

 それでも、第11節の浦和戦で3-1と勝利。少しずつチーム状況が上向くきっかけを掴んだか、前節の北海道コンサドーレ札幌戦ではFWバフェティンビ・ゴミスが加入後初ゴールを決めると、ハットトリックの活躍で3-0と快勝した。

 ただし、局面での個の質は見せたものの、川崎のこれまでの基準からすればビルドアップの質も守備の強度も足りないだろう。8年目となる鬼木達監督が、新しいサイクルをどう作りあげていくのか。

 川崎のほかにも、新しいサイクルやスタイルの構築段階にあるクラブは多い。そんなクラブを尻目に、今季もこのままハイプレススタイルのサッカーがJリーグを支配していくのか。この混戦をどこが抜け出していくのか注目だ。

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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