川島永嗣が3カ国で学んだGK像の違い「スコットランドでは『キャッチング』に美学がある」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【足を広げてもいいけど、その代わりにミスをするな】

── コーチからメニューを提示されるのではなく、選手からメニューを提案しなければならなかった?

「僕自身もそれまでは、ウォーミングアップはGKコーチが決めるものだと思っていました。でも、それを聞かれた時に自分がどういうウォーミングアップをしたら、試合に100パーセントの状態で臨めるかを考えますよね。

 自分のなかでそれを確立できていなければ、結局は受け身になり、100パーセントの状態になるかわからないウォーミングアップをやらなければいけないことになる。その時に思ったのは、プレーにしても、プロセスにしても、自分のなかでしっかりと考えを理解して伝えられるようにならなければいけないと。

 そのGKコーチは、自分だけでなく、年齢の若い選手にも同様のことを聞いていたんです。その若手選手は『自分はこういうことをやりたい』と伝えていました」

── ちなみにそれは、どのクラブでプレーしていた時ですか。

「メスですね」

── 最終的に川島選手はどう対応したのですか。

「自分で考え、自分がやりたいことを伝えました。そうしたら、それをやろうということになりました。シーズンが変わった時には、GKコーチからウォーミングアップの内容について提案され、『どう思うか?』と意見を聞かれたのですが、自分のなかですでに考えが確立できていたので、自分が試合に出る時には『そのメニューをやろう』と尊重してくれました」

── ヨーロッパで14年間、プレーしてほかにも感じたこと、培ったことはありますか?

「今の話の流れでパッと思い浮かんだのは、自分の体を知り、自分に何ができて、何ができないかを理解することの大切さです。体のサイズによっても、選手によってできること、できないことは違いますし、目指すプレースタイルも違ってきます。ヨーロッパでは、ひとりひとりに合ったスタイルをどれだけ出せるか、それを考えてくれていたように思います」

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