川島永嗣が3カ国で学んだGK像の違い「スコットランドでは『キャッチング』に美学がある」
ジュビロ磐田
川島永嗣インタビュー中編
◆川島永嗣・前編>>川口能活コーチの存在が刺激「これを求めてジュビロに来た」
2010年南アフリカワールドカップを経て、海を渡った川島永嗣は3カ国で14年間を過ごし、5チームでプレーした。
それぞれのリーグで、GKに求められるスタイルや役割に違いはあったのか。
ベルギー、スコットランド、そしてフランス......それぞれの国やチームで求められたこと、培ったこと、また、求められるGK像を追求していくなかで確立した哲学について語る。
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川島永嗣はベルギー、スコットランド、フランスでプレー photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── ヨーロッパでは3カ国でプレーしました。それぞれGKに求められるプレーは異なっていたのでしょうか?
「違いますね。求められるGK像も違うかもしれません」
── それぞれ、どこに違いを感じていたのですか?
「ベルギーでは、とにかくシュートを止めればよかったというか。とにかく、そこを強く求められていました。シュートを止めてさえいれば評価されていたので、細かい技術については、それほど問われることはなかったですね」
── たとえば、ポジショニングとか、ステップについてはそれほど言及されない?
「そうです。あとはシュートの止め方とかも、それほど細かく言われることはありませんでした。でも、スタンダール・リエージュで優勝争いをしていた時には、ちょっとしたミスでも厳しく指摘されました。
ヨーロッパで最初に所属したリールセは、優勝争いに加われるチームではなかったこともあり、シュートセーブ以外でのミスを指摘される機会も少なく、むしろ相手のシュートを止めることで、ちょっとしたミスへの評価もカバーされていた感覚がありました」
── スコットランドではダンディー・ユナイテッドに在籍していました。ここでも、やはり求められるプレーは違ったのでしょうか。
「もしかしたらプレミアリーグも同じ意識、伝統があるのかもしれませんが、スコットランドでは『キャッチング』に強い美学があるように感じました。強いシュートをどれだけ難なくキャッチングできるか、みたいな。
だから、簡単に弾くことをよしとされない文化がありました。ベルギーの時と同様、GKは相手のシュートを止めることで評価されていく。それもキャッチングできればなおさら」
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プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。