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サガン鳥栖・川井健太の指導者論「選手をうまくさせたい」「新しいことは好き、流行りは嫌い」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「そうですね、アルテタが同い年ですが、J1ではまた一番下になっちゃった。今から出てくるでしょうけどね。36歳からJリーグの監督を始めて、年下の監督と対戦するのは楽しみです。それまで続けているか、わからないですけど(笑)」

――自分のパーソナリティを分析してください、と言われたら?

「『無口で、喋りたいかというと、喋りたくない。人前に出たいかと言われると、出たくない』ですね。近頃はイベントが続いたのですが、人前で話すと声が小さくなって(笑)。ミーティングでは伝えたいことがあるから、パンパンパンと言葉が出てくるんですが。だから、好きなことしかやっていない、という人間ですね。チームの挨拶はスーツですが、『ジャージで行っていい?』って試しに聞いたら、『参拝があるので』と諭されました(笑)」

――オリジナルで監督像を作ってきた印象です。

「過去を振り返ると、環境に恵まれていたんでしょうね。自分でやらないといけない、考えないといけない環境でした。それも、答え合わせができず、答えがないなかでやり続けないといけなかった。ライセンスを取りに行って、『案外と合っているんだな、じゃあ、この考えでいいんだ』となりました」

――答えなしでも探し求められたのは、サッカーが好きという熱量が巨大だったから?

「好きだからこそ、探究心があったんでしょうね。監督を始めたころ、負けた後の選手の悔しそうな表情を見て、『うまくさせたい』とシンプルに思いました。『自分が何かやりたい、知りたい』は後に来たもので、試合結果どうこうではなくて、プレーがうまくいかない選手が、どうやったらうまくいって、変えられるのか。そこは今でも大事にしています」

――仮説を立てて、実証するという実験が続きますね。

「新しいことは好きですが、流行りは嫌いなんです。マイノリティ(の志向)なんですかね。新しいものってゼロじゃないですか? 人より先に何か見つけていきたい。これは性(さが)かもしれません。みんなが知らない曲をひとりだけ知っていて、売れたら興味がなくなる、みたいな(笑)」

Profile
川井健太(かわい・けんた)
1981年6月7日、愛媛県生まれ。現役時代は愛媛FCでプレー。指導者としては環太平洋短期大学部サッカー部監督を皮切りに、愛媛FCレディースヘッドコーチ、日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチ、愛媛FCレディース監督、愛媛FC U‐18監督、愛媛FC監督、モンテディオ山形コーチを経て、2022シーズンからサガン鳥栖監督に就任した。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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