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Jリーグに危機感を覚えたサガン鳥栖監督 「Bリーグを見て危ないなと思った」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

川井健太監督(サガン鳥栖)インタビュー(中編)

 勝つべきチームが勝つ、それはサッカーにおけるひとつの真理だろう。しかし、弱いとみなされていたチームが強い敵を倒す――大衆が興奮するのはそんな「番狂わせ」だ。

 その点で昨シーズンのJリーグは、資金的に恵まれたチームが強いだけで、意外性に乏しかった。

「Jリーグの人気低迷」

 それが叫ばれる理由としては、有力な日本人の多くが欧州に進出し、極端な円安で能力の高い外国人を獲得する交渉が難航を極めていることもあるだろう。エンタメのコンテンツとして、思った以上の危機を迎えているのだ。

 J1で新風を起こしているサガン鳥栖の川井健太監督は、現状をどう捉えているのか?
 
――Jリーグの人気に対し、危機感を持つ人が増えています。スポーツメディアとしても、ボール競技ではバスケットボールやバレーボールが盛り上がっているのは肌で感じるところです。

「Jリーグ自体がつまらなくなった、という見方もあれば、他競技がJリーグの水準まで追いついてきた、とも言えるかもしれません。僕も去年バスケット(Bリーグ)の試合を見た時、『これは(競合相手として)危ないな』と思いました。ロジック的な強さがあるんです。たとえば、天候に左右されない、ゴールがたくさん決まる、展開のスピード感もすごくある、選手の人数が少なくて名前を覚えやすい、とか」

――昨今のJリーグは、資金面で潤沢なクラブが年間予算に比例して勝っている印象があり、そこに他のクラブが割って入らないと、エンタメとしては厳しくなります。

「自分の立場上、『Jリーグがノッキングを起こしてあまり魅力がない』とは言いたくないし、『そうではない』と言いたいです。ただ、面白いか、面白くないか、を判断するのはファン、サポーターなので、そこにしか正解はないんですよね。観客数が目に見えて増えているわけではないので、伸び悩んでいるというのは事実かもしれません。自分たちとしては、『Jリーグで魅力のあるフットボールを』とは思っていますが、たとえば(シーズン移行は決定したが)真夏にクオリティの高いものを見せるから来てくれ、というのはなかなか難しい。気候に比例し、どうしてもプレーの内容が落ちる。ハード面も少なからず影響しているかもしれません」

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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