サガン鳥栖・川井健太の指導者論「選手をうまくさせたい」「新しいことは好き、流行りは嫌い」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

川井健太監督(サガン鳥栖)インタビュー(後編)

 サガン鳥栖を率いて3年目になる川井健太監督(42歳)は、現在のJ1リーグで最年少監督である。

 川井監督は2008年から17年まで愛媛女子短期大学、環太平洋大学短期大学部、愛媛FCレディースなど女子サッカーの監督として研鑽を積み、頭角を現している。日本国内では稀有な例と言える。2018年、36歳でJ2愛媛FCを率いて3シーズン、カテゴリーを維持。2021年はJ2モンテディオ山形でコーチを務めた。

「健太さんのおかげで、サッカー選手として啓発された」

 選手の評判はすこぶるいい。鳥栖に集った長沼洋一、堀米勇輝、森谷賢太郎、山崎浩介はいずれも、過去に川井監督の薫陶を受けてきた選手たちだ。他に半田陸(ガンバ大阪)、川村拓夢(サンフレッチェ広島)も"チルドレン"と言えるかもしれない。

 新時代の指導者として注目される男の監督論とは?
 
――レバークーゼンを率いて「新時代の名将」となっているシャビ・アロンソに質問したことがあります。「あなたは現役引退後すぐの監督1年目でレアル・マドリードU-14を無敗優勝させ、2年目でレアル・ソシエダBを2部昇格のプレーオフに導きました(3年目で2部へ昇格)。監督 1年目で、なぜそれほど指揮官として活躍できるのか?」と。彼の答えは、「自分は選手時代から監督になる準備をしてきた。それができていないなら、監督などできない」と明快でした。日本ではいきなり監督道を突き進むよりも、丁稚奉公のように監督になるケースが多い(コーチをやりながらライセンスを10年がかりで取る)ですが、「サッカー監督」をどう捉えていますか?

「歴史上、日本でも両方ともいますよね。ただ、後者が圧倒的に多いのは確かで。これからは前者が出てくると思いますけど、シャビ・アロンソは現役時代のプレーヤーの経験から、すべてを操る感覚で、その発言に至ったのだと思います。ひとつ言えるのは、日常から決断をしているのでしょうね。これはフットボールの監督だけじゃなくて、決断をしている人はリーダーに、すっとなれる」

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