Jリーグに危機感を覚えたサガン鳥栖監督 「Bリーグを見て危ないなと思った」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【オフにイングランドを視察して】

――今や80人前後の日本人選手が欧州でプレーしています。円安の影響も強く、引き止めることはできなくなっているし、外国人選手も獲得が難しくなっています。

「今や若い選手でもすぐに海外へ出る時代なので、うちも福井太智がドイツに行きました(バイエルンへ移籍後、現在はポルトガル1部のポルティモネンセに期限付き移籍)。20歳以下で、J2、J3の有望株がJ1を経験せずに(欧州へ)行ってしまう。外国人選手も円安や税金問題で獲得が難しい状況になっています。そうした社会的な外的要因もあるのですが、海外から帰ってきた日本人選手に頼る、というのでは、いつか限界が来ると思います」

サガン鳥栖を率いて3年目となる川井健太監督photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Imagesサガン鳥栖を率いて3年目となる川井健太監督photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る――欧州では、地方クラブが堂々とビッグクラブを倒し、単純にその番狂わせが人気の源になっています。ミチェル監督が率いるジローナはバルサの10分の1以下の戦力でバルサとの撃ち合いを制しましたが、ジローナのスポーツダイレクターが元バルサの下部組織出身で、10年近くをかけて一貫したコンセプトで作ったチームです。

「長い時間をかけないと、花は開かないと思います。やはり、ヨーロッパのフットボールの歴史から学ぶべきことはまだある。継続路線でいくチームは、一回、何かが壊れてしまっても、再生ができる。そこに立ち戻れるので」

――ジローナのようなクラブがJリーグで出にくい理由としては、スポーツダイレクターと言われる現場の態勢を作り出す人の重要性が日本で軽視されてきたことがあると思います。

「僕がこの立場で思うのは、監督が決断する前にクラブが決断しないと、監督はそこにいられないってことです。それが絶対的な順番で、だから僕はクラブに感謝しています。彼らが決断しないと、僕はその場にもいられなかった。クラブの構造ははっきりしていて、社長がいて、監督を決める人がいて、監督、選手がいるわけです」

――欧州では、裕福なチームがそうでないチームに食われることでエンタメとして魅力を維持している印象があります。

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