大宮アルディージャはなぜ凋落したのか 恵まれた環境とずさんなマネジメント (3ページ目)
「残留してほしい、それだけを願っています。大宮はJ3に落ちちゃいけないクラブですよ。崖っぷちではありますけど、開き直った感じで、選手の顔つきも変わりました。希望はあるはずなので、自分もできる限りのサポートはしたいですね」
すでに現役引退を発表していた南は、そう言って後輩たちを叱咤激励していたが、終盤に意地を見せるのが精いっぱいだった。もはやクラブ全体が、"甘さ"を奥深くまで取り込んでしまっていたのだ。
「たぶん大丈夫。どうにかなる」
そのゆるさは、最悪の事態に結びついた。
11月12日、大宮は最終節をホームで戦う。相手は昇格を争っている東京ヴェルディ。順位が確定している大宮に"懸けるもの"はない。だがそういう一戦でこそ、クラブの生き様は問われるのかもしれない。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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