大宮アルディージャはなぜ凋落したのか 恵まれた環境とずさんなマネジメント (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【場当たり的なチームスタイルの変更】

「まず、やるべきはメンタルの改善でしたが、負け続けていたチームに自信を持たせるのは難しい。いきなり『自信を持ってやれ』と言っても、なかなかできない。小さな成功体験を積み上げ、"自分たちがやっていることは正しい、これなら降格圏を脱して残留できる"という、明確な道筋を照らす必要があった」

 チームは、腰を据えた戦いをすべきだったのだ。

 しかし、霜田監督は2022年5月には20位と成績不振で、解任の憂き目に遭っている。改革の途上だった。その後、相馬直樹監督は19位でシーズンを終えたが、2023年も留任した。サッカーの内容は何も改善せず、むしろ凡庸だった。留任理由が不明確だっただけに、2023年は低空飛行に入った。そして5月に最下位で解任となる"皮肉な必然"が起きた。

 誤解を恐れずに言えば、大宮はずさんなクラブマネジメントで凋落したのだ。

 何年間も、場当たり的なチームスタイルを掲げてきた。年ごとに、攻撃重視と守備重視の戦いを交互に打ち出す。それぞれの基準で集められた選手は、その都度、あぶれることになった。監督のクビをすげ替え、外国人獲得も失敗を繰り返し、そうした効率の悪さで億単位の予算をドブに捨てた。同じ監督でも考え方が変わり、スタイルは根づかず、結果だけが物差しになった。

 2017年で、大宮はJ2に降格した。2018年はJ2で大前元紀が得点王になってJ1参入プレーオフを戦い、2019年もJ1に近い状況で踏みとどまっていた。しかし、チームとしての戦い方は朝令暮改で定まらず、戦力は消耗。2020年は15位となって急速に力を失い、J1よりJ3のほうに近づいた。2021年はシーズン途中にGK南雄太が加わって16位と残留にこぎ着けたが、2022年はクラブ史上最低の19位だった。

 つまり、降格のカウントダウンは始まっていたのだ。

 今シーズン終盤の第36節から第39節まで、大宮は4連勝している。チームとしてのポテンシャルの高さは証明した。一時は奇跡の残留の可能性も見えた。

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