令和の高校サッカーで大流行の「三種の神器」とは? カギは客観的データの見える化 (3ページ目)
【血液検査によって一人ひとりに合ったサプリメントを提供】
育成年代のピッチ外で広がりを見せるのが、『NORM株式会社』が展開するアスリート専用のサプリメントだ。
創業は2019年12月。もともと鹿児島県でサプリメントの開発、販売を手掛けていた松元康太郎社長が、当時オランダでプレーしていた元日本代表の小林祐希(現・北海道コンサドーレ札幌)と出会ったのが、商品開発のきっかけだった。専属シェフをつけるなど栄養面まで気遣い、サッカーに打ち込む小林の姿に感動し、「日の丸を背負うようなトップアスリートのためのサプリメントを開発したい」と思ったという。
開発にあたって世界中の商品を調べたが、大半が運動を嗜む一般人に合わせた物で、プレー強度の高いプロアスリートに適した成分の配合や品質の物はなかった。
「100点のサプリメントを作りたい」。そう考えた松元氏が大学の教授やさまざまなスポーツ選手に携わる管理栄養士、薬剤師と打ち合わせを重ねて開発を進め、2021年4月から商品を展開。現在はサッカー日本代表の田中碧、オリックス・バファローズの宮城大弥、リオ五輪4×100mリレー銀メダリストのケンブリッジ飛鳥など、各ジャンルの一流アスリートが多数愛用している。
ただ、成人したプロと学生では、摂る成分が変わってくる。学生年代で多いのが、身体をもっと大きくしたいという悩みと、スポーツ神経痛だ。また、サッカーの"走るスポーツ"という特徴のなかで、育成年代の選手は貧血も起こしやすいという。そうした悩みを解決するため、昨年からは学生専用のサプリメントも展開。血液検査の結果によって、選手に応じた商品の組み合わせを提示している。
選手個々に合わせたアスリート専用サプリメントが浸透してきているこの記事に関連する写真を見る サービス展開を始めて1年ほどだが、今年の末にはサプリメント提供先が高校年代のサッカー部だけで200チームを超える見込みだ。猛スピードで広まっている理由の一つは圧倒的な安さ。一般の人が買うと送料と消費税が合わさり1商品5,000円を超えるが、学生には業界最安値に近い3,000円で販売している。月に1度、NORMと契約するチーム単位で受注。まとめて発送することで送料を削るのと、小売店を挟まず自社のネット販売に絞っているためにできる価格だ。
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