令和の高校サッカーで大流行の「三種の神器」とは? カギは客観的データの見える化 (2ページ目)
【試合撮影と分析は自動で行なう】
試合分析のために必要な動画の撮影も、最新機器の導入が進んでいる。最近、育成年代の試合でよく見かけるのが、デンマーク製のスポーツAIカメラ『Veo Cam 2』だ。
高校サッカーの試合会場で多く見られるようになったAIカメラこの記事に関連する写真を見る 以前は手の空いた学生がタブレット端末やウェアラブルカメラで動画撮影していたが、映像の品質が安定しないケースも見られた。また育成年代のピッチは、プロのようにスタンドがない会場も珍しくない。会場脇に組まれたやぐらに登って撮影するなど手間がかかるのが難点だったが、Veo Cam 2はそうした悩みを解消できる。
機械の先端に2台のカメラが付いており、それぞれ左右の90°をカバーすることで180°すべてを撮影できるのが特徴。付属の三脚も最大7.4mまで伸びるので、例えばグラウンド周りを囲んでいる防球ネットの上まで伸ばして撮影もできる。これまで同じように撮影する場合は撮影する係、映像を確認する係の2人が必要だったが、Veo Cam 2を導入すれば置いておくだけで試合撮影の省力をできるのが大きなメリットだ。
また、撮影した動画をweb上にアップロードすればAIが分析し、シュート、ゴール、CKなどといった項目を自動でタグづけしてくれる。今までの分析ツールだと指導者が試合を見返して行なっていた作業だが、それをせずに済むため「本来の指導に集中できすごくラクになった」との声が多く聞かれるという。
本場デンマークでは5年前から流通し、日本でも輸入品をレンタルで提供する会社があったが、昨年9月からはサッカーショップKAMOを展開する加茂商事株式会社が日本で唯一のVeo正規販売代理店として販売開始。
ユーロ価格であるため為替によって変動はあるが、カメラと三脚、トラベルケースなどを含めて約27万円。加えてAI分析は一番安いプランで年間約12万円。これまでの労力を考えると、お手頃価格であるため好評を博している。
約1年間ですでに数百台以上を販売しているが、その8割近くが高校年代のチーム。緑色の三角形の物体がグラウンドに置いてあると目立つため、「その機械は何? どこで買ったの?」と気にする指導者が増えていき、広まっている。
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