川崎フロンターレは監督交代のタイミングか 勝ちきれない理由ははっきりしている

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 J1第18節、4位の浦和レッズ(勝ち点29)対9位の川崎フロンターレ(同24)。首位を行く横浜F・マリノス(勝ち点36)との差を考えると、川崎は是が非でも勝ち点3がほしい試合だった。試合後、鬼木達監督自らそう語っていた。

 この試合より30分早く開始したサンフレッチェ広島対横浜FMは、前半40分、エウベルのゴールで横浜FMが先制していた。浦和対川崎戦に置き換えると、それは前半10分。開始直後から浦和ペースで進んでいた試合はそのタイミングで川崎ペースに流れを変えた。

 浦和が7対3の関係で押していた試合は一転、川崎が8対2で押す展開になった。浦和のマチュイ・スコルジャ監督も「我々のプレスはかからない状態にあった」と試合後の会見で、劣勢を認めた。川崎のパスサッカーに浦和は完全に屈していた。

 両軍のなかで、先の日本代表戦(エルサルバドル戦、ペルー戦)のメンバーに唯一選ばれた選手は浦和の伊藤敦樹だが、この試合で最も活躍が目立ったのは、ほぼその対面でマッチアップする関係にあった大島僚太だった。元日本代表の名に恥じない、格の違いを見せつけた格好だ。

浦和レッズ戦、大島僚太が出場している時間は川崎フロンターレのペースだったが...浦和レッズ戦、大島僚太が出場している時間は川崎フロンターレのペースだったが...この記事に関連する写真を見る「やっぱりシンプルですけど、相手の逆を取るプレーがうまい。相手がプレッシャーに来てもかわして時間を作ることができる。広い視野を武器に、チャンスと思えばくさびを打つなど、いろいろな選手と絡みながらプレーすることができる。ボールも取られないので相手には嫌な選手」とは、試合後、大島の魅力について問われた鬼木監督の言葉だ。

 大島と言えば、何度となく戦線離脱を繰り返している、コンディションに不安を抱えている選手だ。過去2シーズンは満足に戦えず、今季も3月から4月にかけて1カ月あまり休んでいる。スタメン出場はこの浦和戦で4試合連続になるが、時間制限が設けられていることは明らかで、フルタイム出場は1度もない。先に言ってしまえば、この日も後半29分までの出場だった。

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プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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