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清水エスパルス秋葉忠宏監督「ビルドアップは興味がない」 超攻撃的サッカーを目指し「世界と違うことをやっていたら意味がない」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by アフロ

清水エスパルス
秋葉忠宏監督インタビュー後編


前編を読む>>「自分はクズだとわかっていますから、みんなの力が必要だと」理想の監督像などを語った


中編を読む>>低迷する清水エスパルスの監督を受けた理由「普通だったら受けなかったけど、成功体験があったのが大きい」

秋葉忠宏監督の就任以降、清水エスパルスは好調を維持している秋葉忠宏監督の就任以降、清水エスパルスは好調を維持しているこの記事に関連する写真を見る 清水エスパルスの監督の打診を受けた秋葉忠宏は、チームを変えられるという自信を持ってオファーを受諾した。過去のコーチや監督経験、そして、それまで3カ月間、コーチとしてチームを見てきたなか、秋葉には着手すべきところが明確に見えていたからだ。

――監督になって最初にどこからメスを入れるのかは見えていましたか。

「コーチの時からチームをよくするためにはどうすべきかという視点で見ていましたし、3カ月ほど経過していたので選手も把握できていました。そこで最初に着手したのが、〝メンタルの解放"です。みんな、苦手なこと、好きじゃないことに取り組み、いい顔をしてサッカーをしていないのが見てとれた。自分の長所や自分のよさを発揮させていい顔をしてサッカーをやらせてあげたい。そうすれば絶対にいけると思っていたので、『できるんだよ』と何度も言いました」

――勝てないことで選手は自信を失っていたように思いましたが、同時にピッチ上で委縮しているようにも見えました。

「ホームの試合でなかなか勝てなかったので、サポーターの応援やアイスタ(IAAスタジアム日本平)の雰囲気にちょっとビビっていた感もあったと思います。でも、サポーターとはいがみ合う間柄じゃないじゃないですか。だから『僕らを応援してくれるし、昇格しようという思いは一緒。より絆を深めて一緒に戦っていこう』と選手に伝えました。それから『ホームで絶対に勝つぞ』『アウェーでもこれだけ応援に来てくれている、あの声が聞こえるだろう』という話をしていくなかで、選手も『そうだな』と理解し、応援を背にノッて戦えるようになったんです」

 アイスタでは、秋葉監督になって以来、6試合(第19節まで)5勝1分と無敗だ。サポーターの熱烈なバックアップがある「アイスタ効果」と秋葉は笑うが、そこに至ったのは重要な試合を乗り越えてきたからだ。

――秋葉監督にとって重要な試合になったのは、どのゲームでしょうか。

「監督就任直後の東京ヴェルディ戦(第8節)です。そこで、いい勝ち方(2-1)ができたからこそ今があるんだと思います。あの試合がドローや負けだったら今、ここにいないでしょう(苦笑)。そういう意味では、自分で言うのもなんですが、『もっているな』と思っています」

――初戦を乗り越えたあと、メンタル以外で手を打ったところはありますか。

「僕は適材適所が大事だなと思っていたので、選手の能力や個性を見て適性なポジションに置いていくこと。守備については失点が多かったので、すべきことを口酸っぱくして言っただけです。メッシが『試合に勝つにはアタッカー陣の力が必要だけど、優勝するためには守備が重要だ』と言っていますが、僕も優勝するために球際の強さ、切り替えの速さ、セカンドボールへの意識などについてかなり言ってきました。でも、言うだけでエスパルスの選手はできてしまう。本当にレベルが高いなと思いますね」

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著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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