川崎フロンターレは監督交代のタイミングか 勝ちきれない理由ははっきりしている (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

【小粒な印象が強まる浦和】

 もっともこの試合に限れば、いいサッカーをしたのは川崎だった。本当に心配になるのはむしろアジアチャンピオンの浦和である。相手が10人になったにもかかわらず、1-1のままタイムアップの笛を聞くと、埼玉スタジアムのゴール裏席からはブーイングが湧いた。試合後ではなく、試合中からもっと発破を掛けるべきではなかったのかとは筆者の感想だが、浦和のサッカーはそれほど低調だった。

 何を隠そうシーズン前、筆者は浦和を優勝候補に推した。横浜FM、川崎の2チームは足踏みする。その間隙を浦和が突くのではないか、選手も粒ぞろいで穴がないと、スコルジャ監督のサッカーに期待した。だが、粒ぞろいと言うより、小粒な印象が日に日に目立っている。こちらも川崎同様、ゴール前のスケール不足が目立つ。

 さらに言えば、スコルジャ監督の采配は、楽観的と言うより、弱みを見せなくないと虚勢を張っているような印象さえ受けた。

 横浜FMと浦和のか勝ち点差は9に広がった。試合数が浦和のほうが1試合少ないので正確には9差以内となるが、横浜FCに0-0で引き分けた前節の内容も悪かった。ここにきて脚色を大きく鈍らせていることは事実。

 川崎、浦和、それぞれの行く末に加え、Jリーグ全体のエンタメ性まで心配になる1-1の引き分け劇だった。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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