イニエスタとともに伝来した「バルサ化」とは何だったのか  ヴィッセル神戸が目指した姿は、バルサ戦で看板を下ろす (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 イニエスタがその戦い方のなかで居場所を失っていったのは、当然の帰結である。彼はまさにバルサそのものと言える「ボールプレーの権化」である。今のチームで輝く選手ではない。

 言い換えれば、イニエスタの退団セレモニーの一環となる6月6日のバルサ戦は、神戸が「バルサ化」の看板を下ろすにふさわしい場と言えるだろう。

 ただ、繰り返すが、バルサも常に「バルサ」ではない。彼らも時代の変化のなかで変わることを迫られる。それがサッカーという"生のスポーツの原理"なのである。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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