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イニエスタにとって、Jラストイヤーになるのか。「自身のベストを、ヴィッセルのベストを、ピッチで表現できるシーズンにしたい」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

 キャプテンを預かって5シーズン目。チームを牽引する立場としての自覚もあって、このオフシーズンもいろんな働きかけを続けてきた。

 新加入選手のジェアン・パトリッキ(セレッソ大阪→)は、イニエスタについて「プレーの質もさることながら、チーム全体を見渡して気遣いをすることがすごく多い選手だということに驚いています」と話していたが、実際、いろんな選手とコミュニケーションを図っていると聞く。

「プレシーズンの今の時期は、『(新加入の選手が)自分が新しいチームに移籍をした時にどんなふうに迎え入れてもらいたいか』を常に意識して過ごしています。簡単に言うと、新たに加入した選手がチームの一員であると感じられるような環境、雰囲気作りです。

 その点に関しては、僕に限らず、長くこのチームに在籍している選手を中心に今の時間を過ごせているように感じています。

 選手ごとに性格や個性は違って当然ですが、それぞれができるだけ早くチームにフィットし、お互いを仲間であると信頼すること。互いに性格やプレースタイルを学び合って、関係性を築いていくこと。そして、全員がいてこその"チーム"だと感じられる雰囲気を作り上げることで、結束を強め、ヴィッセルが目指すべき場所に向かいたいと思います」

 そのためには、昨年、残留争いに巻き込まれた反省をもとに一切の驕りを排除して戦わなければいけないと語気を強める。

「言うまでもなく、目標は"タイトル"ですが、僕自身はスタートから『J1で優勝するためにスタートをきろう』というマインドで臨むべきではないと考えています。

 振り返れば、昨シーズンの序盤は一昨年、クラブ史上最高順位となる3位という結果を残したことが少しチームの"驕り"になっていた気がしています。AFCチャンピオンズリーグの出場権獲得という目標は達成できたとはいえ、"タイトル"を手にしたわけではないという事実を、どこかで見ないようにしていたようにも感じました。

 ですが、長いシーズンを勝ち抜いてタイトルに辿り着くには、そうした驕りは一切排除しなければいけません。

 ましてや、昨年はまったくもって理想とかけ離れたシーズンになってしまったことからも、全員がその事実を真摯に受け止め、目の前の試合に向けて100%の準備をし、すべての力を注いで戦う姿を開幕戦から表現しなければいけないと思います(※開幕戦はアビスパ福岡に1ー0で勝利。イニエスタは欠場)。タイトルというのは、謙虚に、ひとつずつ勝利を積み重ねた先にしか見えてこないものだからです」

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