イニエスタにとって、Jラストイヤーになるのか。「自身のベストを、ヴィッセルのベストを、ピッチで表現できるシーズンにしたい」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

 また、度重なる監督交代もあって、チームとしての戦術、戦い方が定まらなかった経験を踏まえ、チームコンセプトの明確化、徹底も必要だと言葉を続けた。

「ワールドカップの話でも触れたように、チームのプレースタイル、コンセプト、考え方は監督によって違って当然で、それを決めるのは監督の仕事なので、細かな戦術について僕が意見することは差し控えます。ただ、僕の過去の経験から、チームが結果を求めるには、チームとしてのコンセプトと、それに基づくプレースタイル、戦い方を明確にすることが重要だという考えは持ち合わせています。

 実際、昨年のJリーグ王者である横浜F・マリノスや常に上位を争う川崎フロンターレは、長年に渡って同じシステムで戦い続けていますし、すべての選手が試合のなかで何をすべきか、チームのために自分がどんな力を発揮するべきかを理解していて、それが彼らの強さになっています。仮にシーズン中に選手の入れ替わりがあったとしても、常にピッチに立つ11人が自分に与えられた役割を90分間、あるいはシーズンを通しても安定的に表現しています。

 そのことを、ヴィッセルも参考にすべきだと思っています。

 正直、沖縄キャンプの前半を過ごしている今の時期は、まだ吉田(孝行)監督が今シーズン、どういうチームを作ろうと考えているのか、細部までは伝えられていません。ですが、いずれにしても昨年とはメンバーも入れ替わり、選手の個性、特徴も違う今シーズンは、それを踏まえた、それぞれのよさがスムーズに発揮されるプレースタイル、システムを見つけていくことが、タイトルに近づく第一歩になると考えています」

 今シーズンのスタートにあたり、永井秀樹スポーツダイレクターは昨年の"吉田ヴィッセル"の戦いを踏まえて、失点の大幅な減少を評価した一方で、得点力アップを課題に挙げている。イニエスタ自身は、攻撃にどう貢献していこうと考えているのか。

「僕がどのようなシチュエーション、プレーで貢献できるのかを判断するのは監督なので、それは監督に聞いてもらうほうがいい質問だと思います(笑)。ただ、僕自身に言えることがあるとするならば、システムがどうであれ、自分が長年にわたって構築してきたプレースタイルやプレーヤーとしての持ち味は変わらないし、それを常にヴィッセルのために余すことなく発揮したいと考えているということです」

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