「僕のことは見本にしないほうがいい」柿谷曜一朗は徳島をJ1昇格させるために「ダサい試合をしても勝つ」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

愛しているJ! Jリーグ2023開幕特集
柿谷曜一朗(徳島ヴォルティス)インタビュー後編

◆前編はこちら>>本音を吐露「すごいと言われて天狗になって...」

 幼少時代からセレッソ大阪の下部組織で育った柿谷曜一朗は、常に注目を集める存在だった。日本代表歴もU-12選抜にはじまり、途切れることなく各カテゴリーで選出。まさに「セレッソの宝」として16歳でプロ契約を果たした。

 しかし、トップチームで初めて挫折を味わい、徳島ヴォルティスに期限付き移籍。愛するセレッソを離れたことが、柿谷にとってターニングポイントとなった。

「ここで試合に出られなかったら終わり」と心機一転。徳島では周囲に支えられ、多くのことを学んだという。再び帰ってきた徳島で、33歳になった柿谷が見つけた目標とは──。

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柿谷曜一朗が徳島ヴォルティスに帰ってきた柿谷曜一朗が徳島ヴォルティスに帰ってきたこの記事に関連する写真を見る── 2009年に徳島ヴォルティスに期限付き移籍となった時、当時のチームのキャプテンだった倉貫一毅さん(現FC琉球監督)から大きく影響を受けたそうですね。

「試合に対する熱量、練習に対する熱量が、僕とはまったく違っていました。僕の場合は練習に時間ギリギリに来て、終わったらさっさとシャワーを浴びて帰るような感じだったんですけど、一毅さんを見ていたら『そんなんじゃダメだ』ということに気づかされました。

 そういう人の行動を見て、どう感じるかは自分次第。自分が変わるにはどうしたらいいかと考えた時に、一毅さんみたいな人がいてくれたことはありがたかったですね」

── 当時はまだ20歳前後の若手でしたが、33歳となった今、再びこの地でプレーするうえで、また違った役割があるのかなと?

「監督からも『模範になるようなプレーをしてもらわないといけない』と言われていますし、そこは自分でもわかっているつもりです。ただ、どうしても引っ張っていくタイプじゃないんでね。もちろんタイプじゃないからといってやらないわけではなくて、いろんな試みはしていますけど、僕のなかでは試合でどれだけチームのみんなに頼ってもらうかだと思っています。

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