連覇を狙う横浜F・マリノスが抱える懸念。初のスーパーカップ制覇でその不安は払拭できたのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 Jリーグの新たなシーズン到来を告げる富士フイルムスーパーカップが東京・国立競技場で行なわれ、横浜F・マリノスがヴァンフォーレ甲府を2-1で下した。横浜FMにとっては、これが実に6回目の出場にしてようやく手にした初優勝である。

 同カップは、Jリーグ開幕1週間前に行なわれるシーズン最初の公式戦で、前年シーズンのJ1王者と天皇杯王者が対戦するタイトルマッチだ。

 それゆえ、そもそも出場すること自体が名誉な一戦だとはいえ、横浜FMは過去にJ1者として4度、天皇杯王者として1度、この試合に挑みながら、そのすべてで涙を呑んできた。

 5度の敗戦のうち3度はPK戦による決着だったのだから、必ずしも力負けではないにしても、5連敗はかなりの珍事である。

 実際、今回で30回目を迎えたスーパーカップの歴史のなかで、複数回出場しながら優勝経験がなかったのは横浜FMのみ。そんな不名誉な連続記録に、ようやく終止符が打たれたわけだ。

「これまで獲れていないタイトルを獲れた。歴史を変える意味ではよかった」

 この試合の横浜FMメンバー最年長だったFW水沼宏太が、安堵した様子でそう話していたように、連覇を狙うJ1王者がまずは幸先のよいスタートをきったと言っていいのだろう。

横浜F・マリノスが初めて富士フイルムスーパーカップを制した横浜F・マリノスが初めて富士フイルムスーパーカップを制したこの記事に関連する写真を見る 昨季の横浜FMは、厚い選手層と完成度の高い戦術を武器に、シーズンを通して優勝争いをけん引。途中、苦しい時期も何度か訪れはしたが、シーズンなかば以降はほとんど首位の座を譲ることなく、J1制覇を成し遂げた。

 総得点70、総失点35は、いずれもJ1トップ(失点は最少タイ)。こうした数字もまた、横浜FMの強さを裏づけている。

 しかしながら、2003年、2004年シーズン以来となる連覇を狙う今季を前に、横浜FMの補強は思いのほか控えめだった。

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