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横浜F・マリノスには「立ち返る場所があった」。水沼宏太が振り返る優勝までの軌跡 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • phot by Etsuo Hara/Getty Images

【メッシでさえ最後は執念で勝つ】

――"これ"というのは?

「どんな時でも攻撃的に、ゴールをこじ開ける姿勢ですかね。それをずっとやってきたはずなのに、ガンバ、ジュビロ戦はできず、どっちも無得点でした。向こうも残留争いで泥臭く挑んできたはずで、結局はその気持ちのところが勝負の分かれ目なのかな、と」

――優勝するために乗り越える試練だったと?

「個人的に大きかったのは、連敗後に1、2週間、空いていたことです。その間に天皇杯、ルヴァンの決勝が行なわれましたが、その試合を見た時、"優勝するのはこういうチームだな"って再認識したんです。"どんな手を使っても"ではないけど、とにかく勝ちたい気持ちを出し、目の前の敵を倒すために一生懸命やる、と。

 自分たちF・マリノスには"これ"っていうのはあるんだから、この気持ちをプラスできたら必ずゴールをこじ開けられるはずと、強い信念が出てきました。だから(浦和)レッズ戦に臨む前も、『とにかくゴールに向かっていこう』とみんなに話しました。FW、ウィングがゴールへ向かっていかなかったら、点はとれない。それがわかったら、気持ちはシンプルになって、勝ちたい気持ちを出すことができました」

――勝負にかける執念ですね。

「おかげで優勝できたわけですが、カタールワールドカップを見ながら、勝つチームはやっぱりこうなんだなって納得しました。決勝戦、あのメッシが決めたシュートは右足で、いつものように華麗ではなく、ネットも揺らさず、どうにか押し込んだシュートでした。メッシらしくないっていうか、入ったか入っていないか、紙一重のゴールで、メッシでも最後は執念で勝っているんだなって思いました」

――プロの勝負は紙一重ですね。

「泥臭さは勝つために重要で、32歳で、あらためて本当の意味を感じられるのにも意味がありますね。自分はF・マリノスでプロデビューしたけど、まわりまわって帰ってきて、今の僕は、それぞれのチームに行っていなかったら、作り上げられていなかった。その時その時、選択をしてきたわけですが、間違っていなかったというか、行った先で正解にできたのは大きいです。

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