ステップアップ中の藤田譲瑠チマ。プロサッカー選手としてヴェルディ時代に影響を受けた3人

  • 会津泰成●文・写真 text&photo by Aizu Yasunari

愛しているJ! Jリーグ2023開幕特集

藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)
インタビュー後編

 藤田は、若干20歳ながらA代表定着を期待され、Jリーグ王者の横浜F・マリノスでも中心選手になりつつある。しかし、高校時代(ヴェルディユース)は、2年生まで主にBチームでプレーし、時にはビデオ係を任されていた時期もあった。そんな藤田はなぜプロ入り後に急成長を遂げたのか。話を聞く内、プロサッカー選手として生きる上で影響を与えてくれた、3人との出会いが浮かび上がってきた。

 ひとりは、ヴェルディユース、そしてトップチームでも一緒に過ごした永井秀樹氏(当時ヴェルディユース、トップチーム監督/現ヴィッセル神戸スポーツダイレクター)。2人目は、藤田がトップチームに昇格した年にヴェルディに移籍してきた元日本代表の大久保嘉人氏。そして最後に、藤田が唯一のライバルと話す山本理仁(現ガンバ大阪)だ。この3人の、「恩師」「先輩」そして「ライバル」の存在が、藤田のプロ入り後の飛躍に大きく関わっていた。

今よりも少し幼さの残るヴェルディ時代の藤田譲瑠チマ今よりも少し幼さの残るヴェルディ時代の藤田譲瑠チマ「小学生の頃からずっといい指導者や仲間に恵まれてきたので、誰かひとりは選べませんが、プロサッカー選手として、特に大きな影響を与えて下さったのは永井さん。先輩では大久保嘉人さん。ライバルでは山本理仁ですね」

――まずヴェルディユース、そしてトップチームでも一緒に過ごした永井秀樹氏について教えてください。

「永井さんは、高校1年生の時から指導していただいて、トップチームに昇格するきっかけも作っていただいたのですが、サッカーの基本となる技術、ボールを『止める』『蹴る』の大切さを徹底的に教えていただきました。

 ユースの頃もトップチームに昇格してからも、永井さんはふだんの練習ではもちろんですが、試合前でも必ず『止める』『蹴る』の練習を繰り返しました。それは、いまの自分のサッカーの基礎になっています。

 トップチームに昇格したばかりの頃、ミスを繰り返してチームに貢献できているのかわからなくなって悩んだ時期もありましたけど、それでも永井さんは、試合で使い続けて下さいました。そういう環境でサッカーに取り組めたことは、本当にありがたかったです」

―― 藤田選手がトップチームに昇格した年にヴェルディに移籍してきた元日本代表の大久保嘉人氏との出会いについて教えてください。

「大久保嘉人さんは、自分の常識の壁を壊してくれました。高校を卒業してプロになってすぐの頃に一緒にプレーさせていただき、それまで思っていた自分自身の限界の壁を壊していただきました。

 練習でも試合でもすごくたくさんのことを要求され、覚えていないくらい何度も怒られたりもしました。シーズン開幕前のキャンプでは、永井さんが割り振って同部屋で過ごしました。部屋でもサッカーの試合を見ながら、いろいろとアドバイスをいただきました。Jリーグのトップで長く活躍して、世界も経験している選手と過ごせた時間は、本当に貴重な経験になりました」

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