横浜F・マリノスには「立ち返る場所があった」。水沼宏太が振り返る優勝までの軌跡
愛しているJ! Jリーグ2023開幕特集
水沼宏太(横浜F・マリノス)
インタビュー前編
2022年シーズン、水沼宏太(横浜F・マリノス、32歳)はキャリアハイのプレーを見せたと言える。31試合出場7得点、チーム最多の7アシストで、横浜FMをリーグ優勝に導き、Jリーグベストイレブンにも選出されている。クロスの質は、J1ナンバーワンだった。存在感を示したことで、32歳で初めて日本代表に選出され、E-1選手権では優勝に大きく貢献した。
「最後は感謝の気持ちが込み上げてきて......」
水沼はJ1リーグ最終節、ヴィッセル神戸戦での涙の優勝劇をそう振り返っている。横浜FM、栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、セレッソ大阪、そして横浜FMに戻ってきたが、それぞれの場所での記憶に胸が熱くなったという。感謝の念で、涙腺が決壊したのだ。
――最高のシーズンになったと思いますが、それが最も集約された瞬間はありますか?
「一番印象的なのは最後の試合、優勝を決めた神戸戦ですね。昨シーズン、プロサッカー選手として一番よかったシーズンだったと思うんですが、自分のよさ、武器がゴールにつながって(先制点は水沼のクロスのこぼれ球をエウベルが押し込み、2点目は水沼のFKをGKが弾いたところを西村拓真が決め、3点目は水沼が右サイドを持ち上がり、仲川輝人がダメ押しゴールを決めた)、やってきたことが実って優勝できたのが神戸戦でした」
2022年のJリーグを制し、トロフィーを掲げる水沼宏太(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る――タイトルは格別でしたか?
「セレッソでルヴァン(・カップ)や天皇杯は優勝しているから、優勝がどういうものかはわかっていました。でも、リーグ優勝はこんなに大変なんだって(苦笑)。やっぱり、すごいものだな、と」
――最後は少しもたつきました(残留争いするガンバ大阪、ジュビロ磐田に連敗)。
「ですね。Jリーグを盛り上げてしまいました(笑)」
――どこで川崎フロンターレやライバルに差をつけ、優勝できたと思いますか?
「立ち返る場所があったのは大きかったですね。そのベースが力になっていると実感しました。2連敗した時も、自分たちのやりたいことが"これ"ってあったから、"こうしよう、ああしよう"と迷わず、ぶれずに次の試合に臨めました」
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