元レフェリー・家本政明が忘れられない、規格外の外国人Jリーガー。「いつも楽しそう」「まさにバケモノ」な選手たち
元レフェリー・家本政明が感銘を受けた選手たち 外国人元Jリーガー編
昨年Jリーグのレフェリーを引退した家本政明さんに、ピッチ上のいちばん近い位置から見てきたなかで「これはすごい!」と思った選手を挙げてもらう。ここではかつてJリーグに所属した外国人選手のなかで、印象に残っているプレーヤーとエピソードを教えてもらった。
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いつも楽しそうにプレー
ジョルジ・ワグネル(MF/元柏レイソルほか)
ジョルジ・ワグネル選手は、柏レイソルがJ2からJ1に昇格して、いきなりリーグ優勝した2011年に加入してきた選手でした。
当時、私が持っていた日本に助っ人としてやってくる外国人選手のイメージは、点取り屋のストライカーか、中盤のゲームメイカーかボランチ、センターバックの潰し屋という感じで、彼のようなサイドの選手はあまり記憶にありませんでした。
最初の印象としてはデカい、速い、うまい。三拍子揃ったすごい選手だと思っていましたが、それだけでなくてポジショニングも抜群で隙がなく、クレバーさも兼ね備えたまさに本物が来たなと感じました。
それから試合をしていくなかで、人柄のよさも非常に印象に残っている選手です。つねに冷静で、興奮しているところは見たことがありません。
外国人選手は助っ人という期待も大きいためか、つい興奮して熱くなってしまう選手は珍しくありません。機嫌が悪いとレフェリーに突っかかってみたり、わざとファールをもらいにいって、「なんでファールじゃないんだ!」とアピールしてきたりする選手はたくさんいます。
でも、彼はそういうことは一切ありませんでした。悪いプレーもしないし、ファールを取る回数もすごく少なかったですし、カードを出す場面もほとんどなかったです。
たまにファールを欲しそうな顔をするんですけど、そんな時もちょっとニコッと笑う程度で、人懐っこい感じなんですよね。いつも、フットボールを楽しみながらプレーしているなと感じさせる選手でした。
レフェリーが親しみやすさを感じるのがよいことかはわかりませんが、いつもフレンドリーに話しかけてくれる選手で、レフェリーという立場だけでなく、いちサッカーファンとしても彼と試合をするのはすごく楽しみでした。
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