2022.07.21

家本政明がレフェリー視点で感じた、「これはすごい!」と思った現役日本代表5人

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

元レフェリー・家本政明が感銘を受けた選手たち 日本代表編

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Jリーグで最多試合数を担当し、2021シーズンいっぱいで審判を引退した家本政明さんが、「レフェリー視点」でこれまで見てきた選手たちを語る企画。大好評だった前回のJリーガー編(現役・OB)を受けて、今回はJリーグから海外へ渡った現役日本代表のなかから、「これはすごい!」と思った選手5人を挙げてもらった。

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ドイツで水を得た魚のように

遠藤航(MF/シュツットガルト)

 遠藤航選手のプレーは、Jリーグ時代もたくさん見てきましたが、当時からここまでの飛躍を想像できたかと言われたら、大変失礼ながらまったく想像できませんでした。

 もちろん当時からすばらしい選手と思っていたのですが、それほどサイズがあるわけでも、すごくスピードがあるわけでもなかったので、突出してスーパーな選手という印象は受けていませんでした。

 例えば、同じボランチのポジションだと、長谷部誠選手(フランクフルト)は海外に行く前から浦和レッズでスーパーな活躍をしていました。そこまでのすごさを遠藤選手に感じていなかったのは、本当に私の見る目がなかったということです。

 それでも当時から他の誰よりも突出して優れていると思っていたのは、状況判断の速さと的確さです。それに裏打ちされたポジショニングのよさや、相手を抑えにいくタイミングの良さ、危機察知能力もすばらしかった。これは今の彼にも共通するところだと思います。

 そしてもう一つ。今思い返してみると、Jリーグでは彼がボール奪取を狙って、インターセプトやあるいは相手に激しく寄せにいく場面で、よくファールになっていた印象があります。

 これは、ボールホルダーの選手が彼の寄せに耐えられず、ふらついたり、倒れたりして、それを見てレフェリーが笛を吹くケースがあったから。そうなると、遠藤選手は強度が発揮できないわけです。言い換えれば、遠藤選手に問題はなかったということです。

 彼はもともと向こうで活躍できるだけの能力の高さと球際の強さを持っていたけれど、日本では発揮できる土壌がなかった。つまり「Jリーグのフレームのなかでは、彼の能力を100%発揮できる状況にはなかったけれど、ヨーロッパでは存分に発揮できたから今に至っている」というのが、私の仮説です。

 より高い強度で行ってもヨーロッパでは相手が倒れないので、レフェリーも笛を吹かない。そうなれば彼は水を得た魚のように、もっと速く、もっと強く、もっと前へ行くようになりましたし、遠藤選手のボール奪取でピンチからチャンスになる機会が圧倒的に増えました。彼がもともと持っているスキルがより生かされる環境が、ヨーロッパや日本代表だったということなのだと思っています。本当にすごい選手です。