サッカーは多く走ったほうが強い? J1各チームの平均走行距離を比較してみた

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by Getty Images

よく走り、よくスプリントする横浜FM

 スポーツの姿は、テクノロジーの発展によって大きく変化してきた。

 そもそも、19世紀のイングランドでフットボール人気が高まったのは、ゴムの加工技術が発展したことによって、よく弾む丈夫なボールが製造できるようになったからだ。それまでのように牛や豚の膀胱に空気を入れたボールを使っていたのでは、フットボールはこんな面白いゲームにはならなかったはずだ。

よく走り、よくスプリントする横浜FMが現在首位よく走り、よくスプリントする横浜FMが現在首位この記事に関連する写真を見る 最近はボールや選手の位置や動きを精密に、そして瞬時に把握する技術が発展してきている。「ゴールか否か」はゴールラインテクノロジーによって判定されるようになったし、VARもなくてはならないツールとなった。カタールW杯では、オフサイドの自動判定システムも使用されるという。

 Jリーグの試合でも、「DAZN」の中継を見ていると各選手の走行距離とかスプリント回数といったトラッキングデータが紹介される。そして、Jリーグのサイトを見れば、選手やチーム毎のデータを簡単に知ることができる。サッカーというスポーツを理解するための有力なツールとして、これから活用したいものだ。

 しかし、走行距離やスプリント回数といった数字には、どの程度の意味があるのだろうか? つまり、「よく走るチームこそ強い」のだろうか? あるいは「長い距離を走る選手こそいい選手だ」と思っていいのだろうか?

 J1リーグは第22節を終えて、横浜F・マリノスが首位に立ち、鹿島アントラーズと川崎フロンターレがこれを追う展開となっているが、この時点でのトラッキングデータ(チーム毎の1試合平均の走行距離およびスプリント回数)を見てみよう。

 走行距離、スプリント回数ともに数字が最も大きいのは、リーグ戦で9位のサガン鳥栖だ。たしかに、よく走る印象が強いチームだ。

 リーグ戦で首位を走っている横浜FMは、チーム平均の走行距離では2番目、同じくスプリント回数では3番目と上位にいる。やはり、強いチームはよく走り、よくスプリントするようだ。

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