元レフェリー・家本政明が忘れられない、規格外の外国人Jリーガー。「いつも楽しそう」「まさにバケモノ」な選手たち (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

圧倒的なパワーに衝撃

ダニルソン(MF/元名古屋グランパスほか)

 ダニルソン選手のプレーを最初に見た時に、その圧倒的なパワーに衝撃を受けました。もちろん、運動量は豊富ですし、「それ奪えるんだ!」と驚くようなボール奪取やダイナミックなプレーを見せてくれる。

 時折、「やっちゃったな」という場面もありましたが、私とのやりとりでは興奮することもなく、笑みを浮かべながらコミュニケーションが取れる選手でした。

 そんな彼に対して思っていたのは「Jリーグで彼本来のプレーを十分に発揮させてあげることができたのか」という点です。

 彼の激しいプレーはコンタクトプレーの許容度が狭いJリーグでは、すぐに笛を吹かれてしまうものが多かったからです。ですから警告や退場処分を受けることも少なくありませんでした。彼自身も日本以外でプレーしていた頃とはだいぶ違うと話していて、苦しんでいました。

 ただ、それが本当に彼だけの問題なのかと思うわけです。彼のプレークオリティがJリーグの判定基準にマッチしていなかっただけで、正直「本当はもっともっと活躍できたのに」と思っていました。それは本人にとってもJリーグにとってもすごくもったいなかったなと思います。

 この話で言うと、ダニルソン選手に限らず、Jリーグのフィジカルコンタクトがヨーロッパや南米の基準と違って苦しんで、結局本来の力が出せずに離れていく外国人選手がたくさんいることは自覚しています。また、そうした選手がヨーロッパで本来の力を発揮して飛躍しているケースも、事実としてあります。

 そんなパワーのある外国人選手が力を発揮しづらい土壌は、逆に日本人選手が海外のリーグに渡った時に苦しむ要因のひとつだと思います。そういった意味でダニルソン選手から学ぶことはたくさんあったと思っています。

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