かつての浦和レッズには圧倒的な個性が存在した。優等生タイプだけでは閉塞感は打破できない (3ページ目)
ゴールへの異常な執念があった
鹿島には、対照的なふたりがいた。少しでもコースが見えれば躊躇なく右足を振り抜く上田綺世や、自由なポジション取りで「俺によこせ」とばかりにボールを引き出し、決定機を逃せばピッチを叩いて悔しさを露わにする鈴木優磨の姿を見れば、なおさらそう思うのだ。
浦和はかつて、そうした選手の宝庫だった。エメルソン、ワシントン、田中マルクス闘莉王......。名前を挙げればきりがないが、浦和の栄光の歴史には圧倒的な個性が存在した。
時は流れ、戦術は進化し、個性的な選手が淘汰される時代となったのは事実ではある。しかし、時に予定調和を崩すことで、想像を超えるプレーが生まれ、流れを引き寄せられることもある。
そういえば、天皇杯で浦和にタイトルをもたらしたのは、DFでありながらゴールへの異常な執念を燃やす、個性の塊のような男だった。
槙野智章に涙は似合わない。新天地ヴィッセルではエンターテイナーとしても「浦和でできなかったことを実現できる」
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