かつての浦和レッズには圧倒的な個性が存在した。優等生タイプだけでは閉塞感は打破できない

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「8試合負けなし」と書けば、好調チームをイメージするかもしれない。一方、「7試合勝利なし」と書けば、苦しんでいることが想像される。ところがこれは、同じチームの状況を指している。浦和レッズのことである。そして14位という順位にふれるまでもなく、今の浦和は苦境の真っ只中にある。

7試合連続して引き分けとなった浦和レッズ7試合連続して引き分けとなった浦和レッズこの記事に関連する写真を見る 昨季は6位と上位進出を果たし、天皇杯も制した。気鋭のスペイン人指揮官リカルド・ロドリゲス監督の下、復権への第一歩を踏み出したと思われた。

 だが、さらなる進化が期待された今季は、開幕から4戦未勝利と出遅れた。湘南ベルマーレとジュビロ磐田には勝利したものの、6節の北海道コンサドーレ札幌戦からは6試合連続の引き分けで、迎えた14節の鹿島アントラーズ戦でも早い時間帯に失点し、PKで追いついたものの勝ち越し点を奪うことができずに、1−1の痛み分けに終わった。

「チャンスがあっても、それを決めきれない試合が続いている。悪い流れだが、サッカーでは起こりうること。それを打ち破っていかなければいけない。負けてはいないが、勝ってもいないという現実を受け止め、勝利を手にできるようにやっていきたい」

 試合後、リカルド・ロドリゲス監督は淡々と言葉を発した。

 勝ちきれない原因は、やはり点が取れないことに尽きるだろう。7つの引き分けのうち3つがスコアレスドローで、1−1の引き分けも3試合を数える。

 チャンスを作りながらも決めきれず、スコアレスドローに終わった柏レイソル戦後、リカルド・ロドリゲス監督は「引いてくる相手を崩すのは簡単ではないが、我々としてはそこを改善すべくトレーニングしている」と話していたが、ハードな連戦下にあって思うように着手できていないのだろう。続くサンフレッチェ広島戦でもゴールを奪えないまま引き分けている。

 リカルド・ロドリゲス監督のサッカーは、正しい位置取りに基づくスムーズなボールの動かし方に特徴を持つ。しかし、たとえ正しい位置を取っても、相手のプレッシャーをかいくぐれなければ、ボールは回らない。

 そこには判断やパススピード、あるいはデュエルなどさまざまな要素が求められる。だが、柏戦でも広島戦でも、この鹿島戦でも、引いた相手を崩せなかったのではなく、プレッシャーに屈する場面が多く見受けられた。

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