横浜F・マリノスがACLを勝ち抜いた"非森保的"選手起用法。日本代表にも「先を見越した戦い」が必要だ (2ページ目)
充実してきた浦和のサイド攻撃
今後の可能性という点では、Jリーグで現状13位と低迷する浦和の方が明るそうな気がする。ダヴィド・モーベルグの加入がなにより大きい。右ウイングで構える彼にボールが収まると、一瞬、時間が止まった状態になる。いい感じで落ち着くのだ。と同時に、次への期待も高まる。川崎の家長昭博をスケールアップさせたような左ウイング。Jリーグではすでに3試合で先発を飾っているが、ACLの戦いを通してすっかりチームの看板選手になった印象だ。
一方、加入して間もないアレックス・シャルクは、大きな爪痕を残すことができなかった。キャスパー・ユンカーが故障で戦列を離れることが決定的となっているので、この選手の活躍が浦和の浮上には不可欠となる。
中2日で6試合を戦った今回の強行日程は、選手層が問われた大会でもある。グループリーグ2位で通過した浦和と、同じく2位で脱落した川崎との差を、そこに見た気がする。浦和の方が右肩上がりの状態にある選手が揃っていた。
なかでも目に留まったのはケガから回復した新加入の松尾佑介だ。Jリーグでは先発1試合、交代出場2試合にとどまっていたが、今回のACLでは全6戦中、先発3試合、交代出場2試合と主力級として扱われた。そのうち4試合がモーベルグと入れ替わる形の出場だったが、いずれにしても浦和のサイド攻撃が、ここに来て充実してきたことは確かである。
横浜FMは首位通過を果たしたものの、ライバル全北現代には1分1敗と負け越した。5月1日の最終戦で対戦した際も、相手がすでに通過を決めている状況で、必ずしも全力で戦ってきたわけではなかった。その1-1の戦いは、かなり危なっかしく映ったものだ。
しかし、6試合を中2日で戦う強行軍の戦い方としては理想的だった。選手の出場時間を管理しながら、6試合すべてにおいて5人の交代枠を使い切っている。各選手の出場時間に目を通せば、ケヴィン・マスカット監督が、選手のローテーションを綿密な計画の基に行なっていたことがわかる。起用した選手も24人と多い。選手に不必要に負荷を掛けない采配。使える選手の数を増やしながら、今後の試合に臨もうとする姿勢が見て取れる。
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