高卒ルーキー・松木玖生がいかにスゴいか。記録的な価値は小野伸二、本田圭佑らを上回る

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 FC東京の高卒ルーキー、MF松木玖生が話題だ。

 今年1月、全国高校サッカー選手権で青森山田を優勝に導いた松木は、それから2カ月足らずで、今季J1開幕戦にいきなり先発出場。その後もポジションを手放すことなく、第10節終了時点の現在、出場停止だった1試合を除き、リーグ戦すべての試合に先発出場している。

高卒ルーキーながら、今季開幕からスタメン出場を続けているFC東京の松木玖生高卒ルーキーながら、今季開幕からスタメン出場を続けているFC東京の松木玖生この記事に関連する写真を見る しかも、特筆すべきは先発出場した9試合のうち、6試合にフル出場していることだ。

 攻守の切れ目なく、常にハードワークを続けなければならない現代サッカーにおいて、スピード、パワー、スタミナといったフィジカル要素は重要性を増している。とりわけ、4-3-3のインサイドMFを務める松木にかかる肉体的負担は、相当なものだろう。

 ほんの1カ月ほど前までは高校生だった選手にとっては、90分フル出場するだけでも簡単なことではないはずだが、それをコンスタントにこなしていることには、驚くしかない。

 もちろん、攻撃的な役割を担う選手としては、物足りなさもある。

 松木はここまで、劇的な決勝ゴールを決めたとか、何試合連続でゴールを決めたとか、目に見えて際立った活躍をしているわけではない。

 開幕戦で昨季王者・川崎フロンターレを相手に放った際どいミドルシュートが注目されたのも、"開幕スタメンの高卒ルーキー"なる付加価値があればこそ、だっただろう。

 しかしその一方で、当たり負けして簡単にボールを失うとか、60分を過ぎると足が止まるとか、若い選手にありがちな、"悪目立ち"することもない。

 つまりは、プロのレベルに問題なく適応し、"普通にプレーしている"ということなのだから、それだけでもスゴいことだ。

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