J1で得点ランクトップに立った京都サンガのピーター・ウタカ。ゴール前でのマークの外し方が鮮やか (2ページ目)

Answer　
ゴールへ向かうと見せてバックステップでマークを外し、パスを呼び込んだ

　ウタカの、ストライカーのお手本とすべき駆け引きによる得点シーンである。

　最初のポイントは白井のオーバーラップだ。白井が後方から長い距離をスプリントして、オーバーラップで山田を追い越したことにより、白井からのグラウンダーのクロスが入ってくるシチュエーションが生まれ、ウタカの駆け引きが始まった。

ウタカはゴールへ向かう動きからバックステップでマークを外し、クロスを受けてゴールしたこの記事に関連する写真を見る　次のポイントは、田代がボールと自分を同一視野に入れられない、ウタカのポジショニング。そこから白井が山田を追い越していくタイミングで、ゴールに向かって動き出した。これはGKとDFの間を狙ったクロスに合わせる動きである。

　田代はウタカの動きを見たか、あるいは感じたか、このGKとDFの間へのクロスを警戒して、ウタカと同一方向へ動き出した。その瞬間に、ウタカはバックステップでマークを外した。これが狙いである。

　マークを外された田代もシュートコースに体を投げ出したが、ウタカはダイレクトシュートで股間を抜き、ゴールに流し込んだ。

　ウタカはこの試合２ゴールを決め、６得点で得点ランキング単独首位に立った。

　開幕戦の浦和レッズ相手にも同様の駆け引きで得点を決めており、ボールを持った時の個人技もさることながら、オフ・ザ・ボールの質でも基本に忠実、かつ高いクオリティーを示している。

　大黒柱のウタカが牽引する昇格組の京都は、今季どこまで躍進できるのか注目である。

◆【動画】Ｊリーグ第８節 京都サンガF.C.vsサガン鳥栖 ハイライト
（京都の先制点のシーンは０分33秒～１分19秒）