イニエスタの処遇がジレンマ。ロティーナ神戸はACLを浮上のきっかけにできるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

初陣となったセレッソ大阪戦で厳しい表情のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(ヴィッセル神戸)初陣となったセレッソ大阪戦で厳しい表情のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(ヴィッセル神戸)この記事に関連する写真を見る「(監督に就任して)二日間という時間のないなか、たくさんやりたいことはあったが、まだ十分にできていない。ただ、今日の試合は改善に向けていい材料になるだろう」

 ヴィッセル神戸の監督としての初陣となったミゲル・アンヘル・ロティーナは、トレードマークである渋面を作って言った。自身の古巣であるセレッソ大阪に、ホームで0-1と敗れていた。クラブワースト記録となる開幕10試合未勝利。決してロティーナのせいではないが、10試合で3人目の監督というのは緊急事態だ。

「1分1秒をムダにせず、改善の努力をする。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で結果を残すのは重要だが、同時にチームとして成長できるように。(タイで集中開催の)15日間(グループリーグ4試合を戦う)が終わった時、まったく違うチームになった姿を見せたい」

 Jリーグで不調を極める神戸は、ACLで浮上のきっかけをつかめるのか?

「Consistente」(スペイン語で「堅く、しっかりとした、芯の通った」という意味)

 そんなチームを目指すと、ロティーナは誓っている。そのフレーズは、いかにも彼らしい。実直な堅守を植え付けることで、攻撃も立て直せるか......。

 神戸の現状はどうなのか?

 セレッソ戦は、それまでと比べて劇的な変化はなかったが、各選手の距離感はいくらか改善されていた。ロティーナの指導力の高さはすでに実証済み。各選手の間でも、「ようやく本物の監督が来た」というのが偽らざるところかもしれない。しかし、現状はほとんどサッカーになっていない。

「4週間で3人も監督が代わって、すぐに適応するのは難しい」

 交代出場したボージャン・クルキッチはそう語っているように、堅固な守りを敷くにはシステム、もしくは人の入れ替えが必要になるだろう。

 とりわけセンターバックは不安定で、トーマス・フェルマーレンの不在を強く感じさせる。フェルマーレンも全盛期には程遠かったが、適切なポジションどりや判断、高い技術があり、周りに「正しいディフェンス」のレッスンを与えていた。そのおかげで菊池流帆は強さ、高さ、激しさという持ち味を出していたが、今シーズンはポジショニング、判断、ビルドアップで未熟さを露呈し、その焦りが精度の悪さに拍車をかけている。

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