宇佐美貴史「自分を更地にする」。王者からオファー受けるも残留を決めたエースの覚悟

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by (c)GAMBA OSAKA

 加えて、30歳を迎える節目の年に、宇佐美が担うべき役割として考えているのがプレー以外での貢献だ。沖縄キャンプ終了後には片野坂監督から副キャプテンに指名された宇佐美だが、そうした役職に関係なく、本当の意味でチームをまとめ、牽引するために、必要な行動をとっていきたいと話す。

「今年は日本人選手では上から5番目という年齢になったなかで、このクラブを支えていく、チームを引っ張っていくことに対して、どんな役割を担うべきか、自分なりに考えてシーズンをスタートしました。そのなかでひとつ整理できているのは、自分本位に言葉を吐き出すのはやめよう、ということ。

 今シーズンは若い選手が増えたからこそ、ピッチ内の判断にしても、それ以外のことについても、僕から一方的に『これをしろ、あれをしろ』というのではなく、その選手にとってベストなコミュニケーションを心がけたいな、と。

 というのも、ドイツ時代ならふだんの練習から遠慮なく自分の考えを言葉にしてぶつけ合うのが日常でしたけど、今のガンバで、とか、日本のサッカー界のなかでそれを年長者がすると、どうしても自分の考えを押しつけることになりかねない。

 実際、今の若い選手って、たとえば僕が『この選択のほうがよかったんじゃない?』と伝えた時に、自分の我を通す選手が少なくなったというか、素直に受け入れる選手が多いですから(笑)。その素直さはよさでもあるけど、ともすれば若い選手の勢いや個性を潰すことになってしまうので、今年はできるだけ相手がポジティブな感情になれるような声かけをしていきたいな、と。

 ひいては、それが若い選手がのびのびと、いいトライをしていけるような空気につながっていけばいいなと思っています」

 目標として描くのは「去年よりよくすること」。片野坂監督が掲げた「3位以内」は当然頭に置いているが、近年の戦いを踏まえ、闇雲に高みを目指すというよりは、チームづくりにまつわるさまざまなことを一つひとつ、着実に積み上げることを意識してシーズンを戦っていきたいという。

「ここまでのチームづくりは、すごくいい雰囲気で進んできたし、『この戦術をモノにできたら、面白いサッカーができるやろうな』という期待感を常に持ちながら進んでいるのもすごくいいことだと思う。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る