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大宮アルディージャ指揮官・霜田正浩の監督論と目指すサッカー。「これ」をやると選手は伸びる (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【確率を上げる仕組みを作る】

――誰が相手でも、霜田さんは話に耳を傾けます。

「自分のことをわかってもらうというよりも、まずは相手を理解しよう、という意識は強いです。裏切られても信じてみようって。それはブラジルとか、グローバルに仕事をしてきたからかもしれない」

――指向するサッカーを端的に説明するのは簡単ではないと思いますが、霜田さんが提示する大宮の新シーズンの理念とは?

「大きな視点で言えば、『チェンジ』と『ストレート』のふたつだと言っている。今までの大宮から変わらなきゃいけない。せっかくポテンシャルを持っているのに花開いていない、伸び悩んでいる選手の意識、行動、メンタルを変える。一方で、変えるのはぶれるのとは違い、あっちこっち行くのではなく、目標や信じていることに関しては一直線に行こう、と。それがストレート。今までできなかった、考えなかったこと受け入れ、頭を柔らかくしてやっていきたい。それでブレイクスルーできた選手がいたら、"変われた選手"だね、となる」

――霜田監督のサッカーは攻守一体で、必ずしも「ボールをつなぐ」に固執しませんね。あくまで手段だと。

「ずっと攻めていたい、というのはあります。攻める時間が長いと、守りの負担も少なくなる。当然、勝つ可能性は高い。サッカーは確率のスポーツで、それを上げるための仕組みはちゃんと作ります。仕組みの呼び方は、プレーモデル、チーム戦術といろいろあると思うけど、ハイレベルで役割をこなせる選手がいい選手。仕組みのなかで選手は伸びるし、だからこそ半年で3人もJ1へ個人昇格しました(黒川淳史がジュビロ磐田、馬渡和彰が浦和レッズ、河面旺成が名古屋グランパスへ移籍)。山口の時もそうだけど、"これ"をやると選手が伸びるなという実感はあります」

――"これ"を具体的に説明してもらえますか?

「自分たちが能動的にプレーする、そこで相手が嫌がるか。自分たちが気持ちよくても、相手が嫌がっていなければしょうがない。ボール回し、ポゼッション率にこだわりはないけど、こう回されたら嫌だな、ここで走られると嫌だなと、相手が嫌がることを徹底的にやる。それで興奮して、ドーパミンが出るほどね。相手が嫌がる=自分たちが気持ちいいを結びつけたい。それが対戦相手のいるスポーツで勝つ原則だと思う」

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