大宮アルディージャ・霜田正浩監督が明かす、昨シーズン「奇跡のJ2残留」の舞台裏
Jリーグ2022開幕特集
霜田正浩(大宮アルディージャ)インタビュー(1)
日本代表の森保一監督の采配に、世間では多くの批判が集まっている。しかし、彼以上の実績を持つ日本人監督が国内にほとんどいないのも実情だろう。選手たちが勇躍して欧州に渡る一方、世界で戦える有力な日本人監督は不足している。
2022年、Jリーグで新たな気運を生み出せる日本人指揮官は出てくるのか。
そこで、日本サッカー協会技術委員長を務めて日本代表監督を探し、交渉し、契約してきた立場から、監督に転身した霜田正浩監督(大宮アルディージャ)に話を聞いた。チーム戦術を語ってもらうだけでなく、根本的な指導コンセプト、さらに人間性にまで迫る。監督の基本はパーソナリティーにこそあるからだ。
昨季途中から就任、チームを残留に導いた霜田正浩大宮アルディージャ監督この記事に関連する写真を見る 昨シーズン途中からJ2大宮アルディージャの指揮を取り、最下位に近い順位から16位に引き上げ、残留に導いた霜田正浩監督は、「日本人指導者像を変革させる」だけの可能性を持っている。
霜田監督は現役時代にブラジルでプレーし、三浦知良とも友誼を結んでいる。帰国後は日本リーグのフジタ工業(現湘南ベルマーレ)や京都紫光クラブ(現京都サンガ)などに在籍し、27歳で引退。任されたポジションはどこでもこなす選手だったという。
その後、京都、FC東京では語学力や人脈を生かし、強化部で活躍した。その手腕を買われ、2010年にから日本代表の技術委員に就任。アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイド・ハリルホジッチと外国人監督と契約できたのは、その交渉力によるところが大きい。
2016年に退任後は、ベルギー、シント・トロイデンのコーチを経て、2018年からJ2レノファ山口FCの監督に就任した。いきなり8位に引き上げ、攻撃色の強い能動的サッカーで脚光を浴びた。そして小野瀬康介(ガンバ大阪)、高木大輔(G大阪→山口)、オナイウ阿道(横浜F・マリノス→トゥールーズ)、前貴之(横浜FM→松本山雅)、菊池流帆(ヴィッセル神戸)、三幸秀稔(湘南ベルマーレ→大宮)などを次々にJ1へ"個人昇格"させている。
3シーズン、山口を率いた後、ベトナムのサイゴンFCで監督に就任。3連敗で不条理な解任劇に遭った。しかし監督として再び大宮からオファーを受け、残留の使命を果たした。
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