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福田正博が今季Jリーグで注目する9人。新天地のベテランや敏腕監督まで。新規の代表メンバー入りには「圧倒的な結果が必要」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【興梠は札幌に好影響をもたらしそう】

 今年36歳になる興梠慎三にも注目している。昨季の浦和レッズはリカルド・ロドリゲス監督のもとで復活の狼煙をあげたが、その煽りを受けて出番を大幅に失った興梠は北海道コンサドーレ札幌に新天地を求めた。

 札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督とは、浦和時代に一緒に戦っているだけに、チームの戦い方を理解するのに時間はかからないはずだ。私は興梠のゴール前での得点嗅覚は、いまでもJリーグでもっとも高いと評価しているが、その選手の加入は興梠にとってもクラブにとってもwin-winの結果になる予感がしている。

 昨季の札幌が、主導権を握りながらも決定力を欠いて勝ち点を取りこぼしたことを考えれば、チームの戦い方に慣れていけば、決定力の高い興梠が活躍する可能性は十分にある。

 ストライカーとしての働きだけではなく、札幌にはFW小柏剛やMF金子拓郎など才能ある選手もいるだけに、興梠のゴールを決めるところから逆算した動きなどは、チームに好影響をもたらすのではないかと見ている。

 最後は選手ではなく、監督の手腕に触れたい。京都サンガF.C.が12年ぶりにJ1に戻ってきたが、昨年就任1年目でJ2から昇格に導いた曺貴裁監督がどうやって選手を奮い立たせるかに注目している。

 個人的に曺監督と親しくしているのだが、昨年J1昇格という結果を残したことで監督としてレベルが一段上がったと感じている。今季はFW山崎凌吾(前名古屋)、金子大毅(前浦和)らが加わっているが、湘南ベルマーレ監督時代の教え子たちも再集結していて、どのような戦いが見られるか楽しみにしている。

 さらに京都で注目しているのが、ピーター・ウタカのプロフェッショナリズムがチームにどういう効果をもたらすかだ。2016年のサンフレッチェ広島時代にJ1得点王になっているウタカは、2020年から京都でプレーし、昨季は40試合で21ゴール。J2でのここ3シーズン合計では120試合で63得点を決めている。

 J1でも彼の高いプロ意識とゴールへの強い意欲が、京都の攻撃の肝になるだろう。一方で、チームの守備面で存在感と責任感を発揮できる選手が台頭することを期待している。

「ウタカが得点をとるために守備は任せろ」という思考の選手が増えるように、曺監督がチームを導いていけるかどうか。そのマネジメントができた時には、京都は残留争いではなく、一段上の戦いをするのではないかと見ている。

◆【図】Jリーグ30年。歴代最強チームのフォーメーション

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