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福田正博が今季Jリーグで注目する9人。新天地のベテランや敏腕監督まで。新規の代表メンバー入りには「圧倒的な結果が必要」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【溌剌と活躍する宇佐美が見られるか】

 その点で言えば、鹿島アントラーズに戻ってきた鈴木優磨が、今季のJリーグでどれくらいの結果を残すかには興味がある。2019年7月に鹿島からベルギーのシント=トロイデンに移籍し、2年目の2020-21シーズンは34試合で17ゴール。これはヨーロッパの主要リーグで残した日本人選手最多ゴールだったが、森保監督から日本代表に声がかかることはなかった。

 昨夏にステップアップの移籍を模索したが、急転直下の古巣復帰。スイス人監督のレネ・ヴァイラーを迎えてヨーロッパスタイルへと転換する鹿島で、鈴木がどういう結果を残すのか。ベルギーでゴール量産した地力を再び見せられれば、代表入りも見えてくるのではないかと思う。

 選手のサッカーキャリアを左右するひとつに移籍がある。そこでの決断がその後の選手生活を変えることは多々ある。オフシーズンに川崎フロンターレからの打診を断り、ガンバ大阪残留を決断した宇佐美貴史の今季にも注目している。

 宇佐美は今年5月で30歳になるが、チャンピオンチームから声がかかるほど彼の技術は錆びついていない。それだけに個人的には川崎のスタイルのなかで、どんな輝きを放つのか見たかった想いがある。ただ、彼の決めた愛着あるクラブへの残留という決断も、私自身の現役時代を振り返れば十分に理解できる。残留を後押ししたものに、片野坂知宏新監督の就任もあったのではないか。

 片野坂監督は2016年にJ3に降格した大分トリニータの監督に就任し、同年にJ2昇格、2018年にJ1昇格に導いて3シーズンをJ1で戦った。昨季はJ2降格という結果に終わったものの、その手腕は間違いなく高い。選手のクオリティーが高いG大阪で、片野坂監督は自身のスタイルのバージョンアップ版を見せてくれると期待しているが、そのサッカーに必須だった宇佐美の残留は大きかったはずだ。

 宇佐美にとっても片野坂監督の就任によって、G大阪を頂点に返り咲かせたいと強く思ったのだろう。老練なプレーを若い頃からする宇佐美だが、まだ老け込むには早い。新監督のもとで溌剌と輝く宇佐美が見られると楽しみにしている。

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