今季J1の優勝争いは面白くなる――そんな予感を抱かせた浦和レッズの完勝 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 もちろん、昨季、あるいは一昨季との比較において、川崎が戦力ダウンしたことは否定できない。というより、これだけ立て続けに主力中の主力がチームを去れば、そうならないほうがおかしい。

 だがその一方で、若手を育て、移籍補強を活用し、戦術的にもアップデートすることで、チームとしての総合力を大きく落とすことなく戦い続けてきた。その成果が、過去5シーズンで4度のJ1制覇である。

 この試合にしても敗れはしたが、川崎らしさの片鱗は見せつつ、今後の上積みを期待させる。そんな内容だったと言っていい。

「去年は川崎に一回も勝っていなかったので、自分たちの自信にもなるが、コンディションが上がってくれば、川崎も変わってくる。自分たちもレベルアップして、また勝てるようにしたい」

 試合後に江坂が口にしたその言葉が、きっと今季繰り広げられるであろう、激しい優勝争いを期待させる。当然、そこには、川崎、浦和以外のクラブが加わってくる可能性も十分にある。

 思えば、1年前の同カップでは、J1と天皇杯の2冠王者である川崎が、ガンバ大阪を3-2で下した。

 スコアこそ僅差だったが、川崎が相手の倍以上の数のシュートを放ち、内容的に見れば、川崎が前評判どおりの強さを見せた、至極妥当な結果だった。

 はたして、その後のリーグ戦では川崎がシーズン序盤から独走した。夏の訪れを待たずに、優勝争いがなかば決着してしまったことは、ご存知のとおりだ。

 ディフェンディングチャンピオンが完敗を喫した、2022年シーズン最初のタイトルマッチ。今季J1の優勝争いは、混戦の予感、である。

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