J2ウォッチャー平畠啓史さんの2021シーズン総括。そのインタビューやチーム作りに「何度も参りました」と思わされた監督とは?

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

Jリーグクライマックス2021

平畠啓史さん J2インタビュー 前編

今季のJ2リーグは、ジュビロ磐田が優勝。京都サンガF.C.とともにJ1昇格を決めた。一方残留争いは最終節までもつれ、4チームが来季J3で戦うことになった。例年を上回るような激戦が続いた今季のリーグを、日本屈指のJ2ウォッチャーである平畠啓史さんに、振り返ってもらった。

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2021年のJ2を制し、J1へ昇格するジュビロ磐田2021年のJ2を制し、J1へ昇格するジュビロ磐田この記事に関連する写真を見る【スタイルを持つ難しさを感じたシーズン】

――今年のJ2はどんなシーズンだった言えますか?

「終わってみれば、やっぱりジュビロ磐田、京都サンガF.C.は強かったですね。最初はアルビレックス新潟とFC琉球が引っ張っていましたが、地力のあるチームがしっかり抜けて行ったというか。ジュビロは8連勝したあたりで、非常に強いなと感じました。

 リーグ戦で勝っていくためには、どのメンバーが出ても勝つことができるように、どのチームも"スタイル"を作っていくと思います。ただ、スタイルがあればあるほどはまれば勝てるんですけど、相手も研究しやすい部分がある。

 その点、優勝したジュビロがどんなスタイルなのかと言われたら、わかりやすいスタイルはないと思うんですよ。カウンターなのか、ポゼッションなのか、守備重視なのか、どれとも言えない。

 ジュビロが優勝したのは、スタイルというより、勝つために、点取るために一番必要なことを高いレベルで組み合わせていけるチームだったなと。そういうチームが結局一番上に行くのかなと。だから、改めてスタイルを作ることの難しさを、今回J2を見ていて感じましたね」

――磐田も京都も、なんでもできるチームでしたよね。

「それがベタに言うと、現代サッカーなのかもしれませんね。何かの型にはめるすばらしさも見ていて楽しいけど、やっぱり対応されるんだなという印象。磐田もそうですし京都も、曺貴裁監督のサッカーとして、縦に行くスタイルはあるかもしれないけど、明確なスタイルにこだわりすぎていないからこそ勝てるんだろうという気がします。

 それは選手も高い次元にいないとたぶん無理。逆に選手が揃っていない場合、負けてしまうからスタイルを作る考え方もあるんじゃないでしょうか。何の策もなく武器も持たずに行くとやられるから『みんなでスタイルを作ってやりましょう』『こうやって攻めましょう』とやるんですけど、それを築けば築くほど対応されてしまうという。そんなサッカーの面白さがあると感じたシーズンでした」

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