浦和レッズが見つけた第三の道。守備からスペイン色に染まり始めた (2ページ目)
ボールありきで、超がつくほどの攻撃重視だった。チーム史上、最も安定したスペクタクルを演出した。ただ彼が指揮した5シーズン半、守備面の弱さでリーグ制覇には届かなかった。
そこで着地点を失い、チームは浮力を失う。昨シーズンに至っては、戦いのデザインが全く見えなかった。
今シーズン、新たに指揮官となったリカルド・ロドリゲス監督は、「個」でも「攻撃戦術」でもないアプローチをとっている。自分たちがボールを有機的に回し、相手にボールを回させない。そのために、局面で個人が正しく優位なポジションを取り、それにお互いが協調してアドバンテージを得る。徳島ヴォルティス時代と同じく、サッカーの本質である攻守一体を突き詰めた。
しかし、開幕8試合(ルヴァンカップ2試合含む)は3得点12失点で、1勝4敗3引き分けと苦しんでいる。無理なビルドアップを狙われることもあったし、アンバランスなプレッシングから高いラインの裏を突かれることもあった。
「後ろから組み立てて攻める形は、キャンプからずっとやってきたので、1、2試合、結果が出なかったからといっても、ぶれずにやっていきたいです。味方同士の距離感、いいポジションを取れるか、ラクな体勢で受けられるか、を突き詰めて。つなぐだけじゃないプレーも見せられるように」
第4節の横浜F・マリノス戦で3-0と完敗した後、浦和のGK西川周作はそう語っていた。
チャレンジ&エラーを続けた後、先に効果が出たのは守備面だろう。自分たちがボールをつなぐ時間を増やすことで、相手をペースに乗せない。守りを整えることで、攻撃への準備もできる。攻守一体の着地点が見えてきた。おかげで、たとえ攻め込まれても、極力、波状攻撃を許さず、シューターに自由を与えずに、失点は激減。なんと今季ここまで11試合が無失点勝利だ。
「守り方など、ベースは浸透してきていると思います」
横浜FC戦後、リカルド・ロドリゲス監督はそう説明している。
2 / 3